ナノワイヤプローブの革新
2026-05-08 14:10:18

ナノワイヤプローブで実現!ナノスケールの化学構造を可視化する新技術

ナノワイヤプローブで実現!ナノスケールの化学構造を可視化する新技術



国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と北海道大学の研究グループが、AFM-IR(原子間力顕微鏡赤外分光法)に新たな革新をもたらす近接場プローブ「ナノワイヤプローブ」を開発しました。この技術により、ナノスケールの化学構造を高い空間分解能で観察できることが確認され、今後の産業界において幅広い応用が期待されています。

従来法の限界とナノワイヤプローブの必要性



近年、材料やデバイスの性能はただの平均的な構造だけではなく、局所的な化学構造に大きく影響されることが示されています。特に、高分子複合材料やナノ素材の開発では、ナノスケールの構造解析が不可欠です。しかし従来の赤外分光技術では、空間分解能に限界がありました。具体的には、市販のAFM-IR用近接場プローブでは、針先の径が約50nmに制限されているため、ナノスケールでの詳細な構造の観察が難しい状態でした。

この欠点を克服するために、研究グループはナノワイヤを用いた新しいプローブを開発しました。これにより、従来技術では得られなかった高精度な測定が可能となったのです。

ナノワイヤプローブの性能



ナノワイヤプローブは、化学合成により得た貴金属ナノワイヤを針先に取り付けることで、従来のプローブに比べてはるかに細く、かつ高い剛性を持っています。実際の測定では、DNA単一分子の分析が可能であり、空間分解能は10nm以下という驚異的な性能が確認されています。

また、ナノワイヤプローブが発揮する赤外アンテナ効果により、強力な近接場が生成され、これが高い感度にも繋がっています。これにより、複雑な高分子やナノ材料の詳細な構造解析が可能となり、今後の研究や応用が非常に楽しみです。

実際の応用例



実験では、ナノワイヤプローブを用いて、さまざまな素材が観察されました。特にポリスチレン(PS)と低密度ポリエチレン(LDPE)の相分離フィルムでは、それぞれの材料の特性を見事に捉え、PSの中にLDPEが分布する「海島構造」を観察しました。このように、様々な材料の微細構造を高精度で分析することができる点が、このプローブの大きな魅力です。

さらに、酸化グラフェンや単一の二本鎖DNA(dsDNA)の観察結果も示されており、ナノワイヤプローブがそれぞれの化学構造の詳細をナノスケールで捉える能力が証明されました。

今後の展望



このナノワイヤAFM-IR法は、ナノスケールでの機能性材料、半導体、ライフサイエンスなど、さまざまな分野での微細構造解析において新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。今後、産総研ではこの技術をさらに発展させ、企業との連携を進めることで日本の産業競争力の向上に貢献することを目指しています。

参考文献



また、詳しい研究成果は、2026年4月30日に《Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)》に発表された論文にも掲載されています。「Nanowire-based AFM-IR microscopy: Unveiling chemical structure at sub-10 nm resolution with silver nanowire functionalized AFM probes」と題され、研究チームの成果に詳しい内容が記載されているので、興味のある方はぜひご覧ください。詳細な手法や実験データが記載されています。

このナノワイヤプローブの実用化が進むことで、私たちは今後さらなる材料開発や構造解析の革新を目の当たりにすることでしょう。


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