高山市の寿美吉旅館が国登録文化財に認定
岐阜県高山市の中心に位置する寿美吉旅館が、国の登録有形文化財に認定される見込みであることが発表されました。この旅館は伝統的な町家のスタイルを保ちながらも、近代的な展開を示す貴重な存在と評価されています。寿美吉旅館の主屋や土蔵、厨房棟が特に注目されていますが、その背後には長い歴史と文化が息づいています。
伝統的な建築とその評価
文化庁の文化審議会は、令和6年7月19日に寿美吉旅館を含む建物を登録する方向で進めることを決定しました。寿美吉旅館は、国の登録有形文化財として認められた高山市内の建物の中でも、2021年の旧須田歯科医院以来となります。
これは高山市において22件目、そして岐阜県全体では285件目の登録となります。このような登録は、地域の文化遺産を守ることに寄与すると同時に、訪れる人々にその価値を伝える大切な役割を果たします。
昔ながらのアットホームな旅館
寿美吉旅館は、1950年に設立され、現在まで70年以上にわたり家族経営を続けています。館内では、アットホームな雰囲気が感じられ、訪れる者を癒してくれるのが特徴です。また、宮川沿いに位置するため、川のせせらぎや四季折々の美しい風景も楽しむことができます。この立地のおかげで、観光名所やイベントにもアクセスが良く、多くの観光客に愛され続けています。
特徴的な建築構造
寿美吉旅館の魅力の一つに、主屋の正面にある独特な出格子があります。これは高山地域でよく見られる縦格子の形式で、歴史的なスピリットを現代に伝える重要なデザインとなっています。また、玄関上部の吹き抜けは、整然とした梁に見応えがあり、訪れる人々に美しい印象を与えます。
一方、厨房棟はもともとの味噌蔵を利用し、1階では厨房として2階では納戸として使用されています。主屋と一体となりながら、通りの景観に寄与しているのです。
さらに、旧質蔵である土蔵も主屋に接して建っており、その特徴的なデザインは観光客の目を引きます。内部には黒漆喰で装飾された掛子塗扉があり、洗練された左官技術を見て取ることができます。
地域に愛される文化財
市文化財課の牛丸岳彦課長は、寿美吉旅館の登録が地域にとって重要な意味を持つと語り、「この登録をきっかけに、多くの人にこの建物や通りの魅力を知ってもらいたい」と話します。高山市には他にも多くの登録有形文化財や指定文化財があり、これらを訪れることで地域の深い歴史と文化を知ることができます。
高山市を訪れたら、ぜひ寿美吉旅館をはじめ、周辺の文化財や観光名所を巡ることをお勧めします。このような文化的な遺産を通じて、高山の魅力を再発見することができるでしょう。