コムギとトウモロコシの交雑植物生誕！新たな農業技術の幕開け

世界初！コムギとトウモロコシの雑種植物の創生

概要

コムギとトウモロコシは、世界の主要作物であるが、それぞれ異なる亜科に属しているため、これまで交雑することが難しかった。しかし、東京都立大学の研究チームが、この壁を乗り越え、世界初となるコムギとトウモロコシの交雑植物の創出に成功した。この革新は、コムギとトウモロコシの遺伝資源を相互に利用できる可能性を開くものであり、新たな育種技術の重要な一歩となります。

研究のポイント

研究チームは、コムギとトウモロコシの花から配偶子を単離し、それを用いて交雑受精卵を作成しました。顕微授精法を用いたことで、この難題を解決し、トウモロコシとコムギのミトコンドリアDNAを統合した植物を成功裏に発生させました。特に、トウモロコシコムギは新たな細胞質雑種にあたることが明らかにされ、これにより新しく獲得した特性を持つ植物が期待されます。

研究の背景

コムギ、トウモロコシ、イネは世界の穀物生産の約90%を占める三大穀物ですが、それぞれの作物は異なる亜科に属しているため、交雑が難しいという課題がありました。特に気候変動による食糧危機が懸念される今、新たな交雑技術が求められています。トウモロコシの乾燥耐性や高温耐性をコムギに導入することは、農業の生産性を高める鍵となる重要な課題なのです。

研究の詳細

研究の結果、9系統のトウモロコシコムギが発生し、それぞれのゲノム配列の解析が行われました。これにより、コムギの核・細胞質ゲノム配列とともにトウモロコシミトコンドリアも保持されていることが確認されました。また、遺伝子情報の安定した世代間伝達も確認され、今後の育種に向けた大きな可能性が示唆されました。

研究の意義と波及効果

本研究は、これまで不可能だったコムギとトウモロコシの交雑を実現し、遺伝資源の相互利用が可能となったことに大きな意義があります。この新技術は、他の植物種でも応用が可能であり、パールミレットやソルガムとの交雑も視野に入れることができます。トウモロコシコムギが持つ新しい形質は、環境への適応能力を向上させ、未来の農業に革新をもたらすでしょう。

今後の展望

現在、研究は続けられており、トウモロコシコムギの特性評価が進められています。導入されたトウモロコシのミトコンドリアが新たな特性をもたらすことで、農業の持続可能性を高める新作物の開発が期待されています。この技術が実現することで、気候変動に強い作物の栽培が実現するかもしれません。今後の研究成果に注目が集まります。