クレーンワイヤー全周囲外観検査システムの開発
パシフィックシステム株式会社と株式会社熊谷組が共同で開発した「クレーンワイヤー全周囲外観検査システム」は、クレーンワイヤーの安全性向上を目指しています。このシステムにより、ワイヤーの表面にある傷やほつれを自動的に検査し、精度の高い分析が可能となります。建設現場での労働災害のリスクを軽減するために重要な技術であると言えるでしょう。
背景
建設工事において、クレーンによる作業は重要な役割を果たしていますが、それに伴う労働災害も多く発生しています。特に、クレーンのワイヤーロープは、定められた保守・点検基準に従って日常的に目視点検が求められています。しかし、人的な目視によるチェックには限界があり、安全性向上を図るための自動化が急務でした。これを受けて、ワイヤーロープの全周囲を精密に検査できる新システムが誕生しました。
システム概要
新システムは、エリアセンサーカメラを4台使用して、クレーンワイヤーの巻下げ中に全周を検査します。AIが教師データに基づいて良否判定を行い、不良部分を自動的に検出します。通常、クレーンの導入時には新品のワイヤーロープが使用されますが、このシステムでは良品のデータを基に判断を行うことで、より精度の高い検査が可能となります。
システム構成
この検査システムは、3つの主要なユニットから構成されています。1つ目はワイヤーロープを撮影する撮影ユニット、2つ目は撮影データの処理を行う処理ユニット、3つ目は判定結果の閲覧や検査起動を遠隔操作するための閲覧ユニットです。この間は無線伝送を利用しており、スムーズな情報のやり取りが実現されています。
検査方法と判定処理
撮影された画像は、AIのアノマリー判定機能を用いて異常を検知します。通常の状態とは異なる特徴が見つかると、異常として表示され、さらにヒートマップを使って異常の場所を特定します。これにより、精度が向上し、異常の早期発見が可能になります。
判定の実績
システムの運用は、16か月に渡って行われ、いくつかの異常データが収集されました。その結果、軽微なゴミの付着などが判定されており、判定精度には信頼性があることが確認されました。ただし、視覚で確認できない異常も存在するため、さらなる改善が求められています。
今後の展開
今後、判定精度の向上を図ると共に、クレーン製造会社による多様な形状や配置のワイヤーにも対応できるシステムを目指して開発を進める予定です。この技術が広がることで、安全に作業が進められること期待が寄せられています。
お問い合わせ
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