マイキャン・テクノロジーズと新たな資金調達
2023年、京都に拠点を置くバイオベンチャー企業、マイキャン・テクノロジーズが、1.89億円の資金調達を成功させた。今回の調達先には、リアルテックファンドやグロービス・アルムナイ・グロース・インベストメントなど、複数の投資組合が含まれており、今後の事業拡大に向けた注目が集まる。
目的はウイルス感染症の重症化予測
この資金は、同社が開発中の「感染症の重症化予測キット」の製品開発に充てられることが決まっている。当キットは、iPS細胞由来の不死化ミエロイド系細胞(iMylc細胞)を用いたもので、体内の抗体の質を測定することで、特にデング出血熱や新型コロナウイルス感染症などにおける重症化のリスクを予測することを目指している。
iMylc細胞とは何か?
iMylc細胞は、再生医療技術に基づきヒトのiPS細胞から誘導された、免疫系の細胞の一種である。この細胞は、安定的に大量生産できるため、研究の場で広く利用されている。具体的には、感染症の研究や免疫のメカニズムの解明などに役立てられている。
重症化予測のメカニズム
Mylc細胞の最大の特長は、ヒトの免疫反応を生体に近い状態で再現できることだ。ウイルスが侵入すると、この細胞がそれに感染し、逆に細胞が防御のために炎症性サイトカインを生成することが分かっている。この反応に被検体の抗体が加わることで、感染や防御の反応状況に大きな違いが現れることが確認されている。
クリニカルな応用
マイキャン・テクノロジーズは、この知見を基にして世界初のウイルス感染症重症化予測キットの開発を進めている。この技術によって、感染症に対する新たな予防手段を提供したいと考えている。
社会への貢献
同社の代表、宮﨑和雄氏は、「感染症に怯えず暮らせる社会」を実現するために、より患者に近い製品の開発を目指していると語る。2016年の設立以来、再生医療分野で積極的に活動し、特に治療薬やワクチンの開発をサポートしてきた。
今後の展開
今後、同社はさらに製品開発の速度を上げ、感染症の重症化に対する新たな戦略を展開していく。また、アカデミック側との共同研究や、さらなる技術革新が期待されている。地域医療への貢献を通じて、社会全体の健康維持にも寄与していく方針だ。
このように、大きな資金を受けたマイキャン・テクノロジーズの動向は、今後も目が離せない。
お問い合わせ先
マイキャン・テクノロジーズ株式会社