オオバコの食害回避メカニズム
2025-12-09 10:27:26

新発見!オオバコの種子が動物の糞を感知して食害を回避する仕組み

新たな発見



京都大学を中心とした研究チームが、多年生植物のオオバコについて驚くべきメカニズムを発見しました。このメカニズムは、オオバコの種子がダンゴムシの糞に含まれる化学物質を感知し、食害を避けるための発芽調整を行うことに関連しています。

研究の背景と内容



これまで、植物の種子は主に光や温度などの環境要因に応じて発芽タイミングを調整することが知られていますが、本研究は新たに、種子が植食者の排泄物に含まれる成分にも反応することを示しました。

具体的には、オオバコの種子はダンゴムシが排泄する糞に含まれる「トレハロース」と「アブシジン酸(ABA)」を感知し、発芽を一時的に抑制します。この抑制が解除されるのは、糞の成分が水によって洗い流されたときです。つまり、ダンゴムシが活発に活動する乾燥した日には発芽を控え、雨が降った時に発芽することで、食害を大きく減少させることができるのです。

野外での実証



このメカニズムは実際の野外調査でも確認されています。ダンゴムシの糞が存在する環境下では、雨天時に発芽が集中し、ダンゴムシによる食害が少ない傾向があります。このように、オオバコの種子は環境に応じて賢く行動しているのです。

生態系への波及効果



本研究により、植物と動物の間に存在する新たな生態的相互作用が明らかになったことで、今後の研究に大きな影響を与えることが期待されます。日本の自然界には多種多様な動物の糞がありますが、その化学物質が他の植物にも影響を与える可能性があります。この知見は、オオバコだけでなく、さまざまな植物の生存戦略を理解する手がかりとなるでしょう。

植物と動物の新たな関係



今回の研究が注目すべき点は、対象としたダンゴムシが外来種であり、オオバコとの関係性がどのように形成されたかという新たな疑問を生んでいることです。在来種という観点から見ると、オオバコが日本在来のダンゴムシに対して進化した防御機構が、外来種に対しても効果を示している可能性を示唆しています。

さらに、今後の研究では、在来種と外来種のダンゴムシとの相互作用の違いを検証し、この現象が他の植物にも見られるかどうかを探る必要があります。これにより、種子と動物との新しい関係性がさらに明らかになることが期待されます。

さらなる研究と秋以降の展望



この研究の成果は、2025年12月9日に「New Phytologist」誌に掲載予定です。本研究は日本学術振興会の科学研究費の支援を受けて実施され、植物生態学や農学の分野への新たな知見をもたらします。これからの研究が進展することで、より深い理解と新たな発見が期待されるでしょう。

著者情報


この研究には、京都大学生態学研究センターや他大学の研究者が参加しており、多くの専門的な知識と経験が集結しています。著者には、京都大学の山尾教授や千葉大学の石川教授などの名だたる研究者が名を連ねています。

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