新しい発光材料の誕生
大阪工業大学の応用化学科に所属する平井智康准教授が、台湾の国立陽明交通大学の李明家准教授等と共に革新的な発光材料の開発に成功しました。この材料は「海の宝石」とも呼ばれる夜光虫の特性に触発されたもので、特に光の強度を外部からの力加減によって変えることができるのが特徴です。今後、この発光材料は光電子デバイスや、さらには3Dディスプレイといった次世代技術に応用されることが期待されています。
夜光虫の神秘的な光
夜光虫が生み出す光は、波や風などの外的要因に反応して現れます。この発光は、夜光虫の体内にあるルシフェリンという物質と、これを活性化するルシフェラーゼという酵素との化学反応によるものです。これが、彼らの青白い光を生み出し、「ブルーティアーズ」とも呼ばれる美しい光景を作り出しています。この現象にインスパイアを受け、研究チームは新たな発光材料の実現に向けて挑みました。
発光材料の特徴
工夫を凝らして開発された新材料は、非共役・非芳香族のシロキサン系高分子をベースにしており、自然のアミノ酸であるシステインのキラリティーを活かすことによって、安定したらせん構造を形成しています。これは、クラスター誘起円偏光という新しい発光メカニズムにより、効率的に発光する仕組みを持っています。これにより、従来の発光材料が抱えていた環境毒性の問題や光の消失といった課題に対しても有効な対策がなされています。
さらに、この新発光材料は圧縮や伸長といった機械的刺激に対して高い耐性を示し、その特性から光の特性を可逆的に変化させることが可能です。これは今までにない新しいキラルフォトニクス材料として、多くの可能性を秘めています。
さまざまな応用の可能性
新たに開発された発光材料は、次世代のキラル光電子デバイスや3Dディスプレイ、さらにはバイオメディカルイメージングやスマートセンシング材料としての展開が期待されています。この発見は、機械制御型のキラル発光材料の設計指針を示すものであり、研究の更なる進展が予想されます。
この研究成果は、日本の国立研究開発法人エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のムーンショット型研究事業及びJSPS科研費の支援のもと進められ、米国化学会のオープンアクセスジャーナル「JACS Au」に掲載されました。
本研究の詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
JACS Au Publication
まとめ
従来の発光技術の限界を越える可能性を秘めたこの新発光材料の開発は、大阪工業大学と台湾の研究者たちの共同努力の賜物であり、これからの光電子デバイスの未来を明るく照らす期待を抱かせます。