尾木ママと日本香堂が共同実施した「供養経験」と「やさしさ」調査の結果

教育評論家の尾木直樹氏（通称、尾木ママ）と日本香堂が共同で行った調査が注目を集めています。この調査では、子どもたちの供養経験が彼らのやさしさの度合いにどのように関係しているのかを探ることを目的としました。

調査の背景

尾木ママは長年にわたっていじめ問題の調査研究を行ってきました。その中から得られた洞察に基づき、供養行為を通じて子どもたちのやさしさがどれほど育まれるのかを探るという仮説が提唱されました。これを受けて、日本香堂が共同研究を提案し、尾木氏の指導と監修の下で調査が実施されました。

調査概要

調査の対象は全国の中学1年生から高校3年生（12～18歳）で、1,236名の男女が参加しました。調査は2015年8月に実施され、インターネットを使用して回答が集められました。この際、保護者や本人からの同意が得られ、保護者の影響がない環境での回答が確保されました。

調査結果

調査結果からは、供養行為とやさしさの関係性が明らかになりました。まず、墓参りの頻度についてですが、調査対象者の約3人に2人、つまり65%が年に1回以上は墓参りに行くことが習慣化していることがわかりました。また、家庭に仏壇がある中高生のうち、ほぼ毎日お参りする割合は41%に達し、「時々」お参りするという層も37%います。このことから、多くの若者が特定の供養行為を日常的に行っていることが示唆されています。

一方で、他者へのコンパッション、つまりやさしさや思いやりに関する自己評価では、多くの中高生が他人のトラブルから距離を置く傾向にあることが判明しました。例えば、他者への冷淡さを感じているという回答が半数以上に上り、他者に対して理解や共感を示すことに対して消極的であることが浮き彫りになりました。

さらに、墓参りの頻度や仏壇への参拝頻度に応じて、他者への冷淡さを否定する割合に統計的な有意差が認められました。日本香堂と尾木ママの調査結果は、供養行為が子どもたちのやさしさを育む上での重要性を示しています。このことは、道徳教育が教科書や口頭の教育に留まるのではなく、実際の行為を通じて子どもたちに影響を与える可能性があることを示唆しています。

今後の可能性

本調査の結果は、子どもたちに対する供養の理由を意識化し内面化することが、彼らのやさしさの醸成につながる可能性があることを示唆しています。今後もこのような実践的な道徳教育が重要となり、供養行為がより広く受け入れられることが期待されます。

教育現場においても、尾木ママが強調するように、抽象的な道徳教育から具体的な行動を通じた教育へとシフトしていくことが、やさしさや思いやりの育成において有効であると考えられます。今後の子どもたちの成長において、この調査結果が実際の教育現場にどのように活かされるかが注目されます。