高卒正社員の賃上げが大卒を上回る時代の到来を示す新たな調査結果

レバレジーズ株式会社が運営する就職支援サービス『ハタラクティブ』が、今年で第7弾となる『若者しごと白書2025』を発表しました。この調査では、若手正社員のキャリアや収入に関するさまざまな実態がまとめられています。特に注目すべきは、高卒正社員の賃上げが大卒を上回る傾向が見られる点です。

高卒正社員の賃上げ幅が大卒を上回る

『若者しごと白書』によると、2024年と2025年を比較した結果、賃上げを実感した高卒正社員の割合が減少した一方で、大卒正社員は増加しています。特に、実際に賃上げを受けた高卒社員の中での賃上げ額が「10,000円〜30,000円未満」に該当する層の割合は増加しており、賃上げの実感が高まっている様子がうかがえます。

また、手取り月収についても高卒社員の方がより多く上昇しています。2024年度と比較した結果、高卒正社員の手取りが「20万円以上」と回答した割合が上昇しているのに対し、大卒正社員は逆に減少しています。このことから、高卒社員の実質的な賃金が上がっていることがわかります。

副業収入は約半数が2万円未満

続いて、若者の副業収入についての調査も行われました。副業を行っている若者の多くが得ている月収は『5,000円〜10,000円未満』が最も多く、全体の67.5%が30,000円未満の収入であることがわかりました。一部の層では、月収が40,000円を超える人もいますが、全体的にはあまり多くの副収入を得られていない実情が浮かび上がります。

学歴別に見ると、高卒正社員の副業収入は、主に『5,000円〜10,000円未満』に集中しているのに対し、大卒正社員は『10,000円〜20,000円未満』が多いという傾向があります。これは高卒社員がより副業に取り組んでいることを反映しているのかもしれません。

若手正社員が転職したくない理由

転職を希望しない若手正社員の理由の調査結果も興味深いものがあります。「今の収入に満足しているから」が最も多く、次いで「職場の人間関係が良好」とか「残業がないこと」が続きます。この結果から、自分の居場所に満足している若手社員が多いことがわかります。しかし、テレワークや副業制度は、転職の主たる決定要因とならないことも明らかになりました。

調査によると、転職を考えている若手社員の理由は『今より多くの収入を得たい』という声が63.4%と圧倒的に多く、収入面が転職意欲を大きく左右していることが示されています。

企業の求める人材の転換が求められる

若者の雇用に関する調査の結果、企業側には学歴だけでなく、能力や適性を重視した採用が求められています。特に高卒人材への期待が高まる中で、企業は即戦力を重視しつつ、柔軟な人材活用を進める必要があります。

ハタラクティブの本田こむぎ氏は、「高卒の賃上げが大卒を上回る現象が見られることは、今後の雇用市場において重要な変化を意味します」と述べています。企業は賃金の単なる増加だけでなく、職場環境を整え、若い人材を長期間活躍させるための施策が必要であると強調しています。

この調査は、就職や転職市場の今後を展望するにあたり、大きな指針を提供しています。若者の雇用に関する現状を把握し、企業は新たな取り組みの必要性を見極めるべきであり、その結果、人材不足の解消につながる可能性が期待されています。