賃上げと雇用意識
2025-11-13 11:19:46

賃上げと就業意識調査、給与維持は離職リスク高まる要因に

賃上げと就業意識に関する定量調査の結果



2024年の賃金動向について、株式会社パーソル総合研究所が実施した「賃上げと就業意識に関する定量調査」の結果が発表された。この調査は、物価の上昇や労働力の不足が背景にある中で、働く人々の給与に対する意識を探ることを目的としている。

調査の背景



日本全体が物価上昇に直面している中、賃上げに関する動きは出ているが、実際の賃金はここ3年間で減少傾向にあることが指摘されている。特に48歳以下の層では、将来の給与が「変わらない」と感じる人々が多く、これが継続的な働き方へ影響を及ぼしていることがわかった。

調査結果の要点



本調査の結果を詳しく見ていくと、以下のことが明らかになっている。

  • - 給与の現状と意識:49歳以下の層において、将来の給与が「変わらない」と認識している人の継続就業意向は27.0%であり、これが「下がる」と感じている層の31.5%と同程度である。

  • - モチベーションの問題:ベースアップがあったとしても、半数以上の人々はモチベーションが向上していない実態が浮かび上がっている。特に年代が上がるにつれ、この傾向が顕著になる。

  • - 未来の不安:40代以上の約半数が将来の昇給に対する希望を失っており、さらに生活に不安を感じている人が多い。また、若年層においては「給与が変わらない場合、転職を考える」と答える割合が高く、特に20代では38.3%に上る。

  • - 育成意欲の低下:給与差が縮小し、将来の昇給期待が薄れることで、自身の給与が上がっているにも関わらず、部下育成への意欲が低下しているという結果も出ている。

  • - 離職リスクの増加:給与が上がらないと感じている若年層では、転職を考える割合が高まる傾向にあり、このままの状況が続くと企業にとっては大きなリスクとなることが懸念される。

企業への提言



このような調査結果から考えられるのは、企業が給与体系や待遇に関する透明性を高めることが重要であるということだ。一時的な賃上げではなく、長期的にどのように給与が増加していくのか、具体的な計画を示すことが求められている。

さらに、働き方の柔軟性や職場環境の整備、非金銭的な報酬も含めたトータルリワードを意識することが、継続的な就業意向を高めるための必要条件であると示唆されている。

  • - 給与の未来展望を示す:数字からなぜ昇給が期待できるのかを説明することで、社員の不安を軽減し、離職リスクを減少させることが可能になる。

  • - 納得性と時間のバランス:給与の決定方法や報酬の透明性を高めることが、従業員の納得感に繋がり、エンゲージメント向上にも寄与する。

最後に



賃上げの動きが広がる中、企業は給与に対する期待感を高めなければならない。特に将来的な展望を示さずに現状の賃金を保つことは、実質的には賃金を削減しているのと同じ認識が広がっている。今後、企業としての働きかけが求められ、効果的な給与設計や育成方針が重要な課題として浮かび上がることが期待されている。


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会社情報

会社名
株式会社パーソル総合研究所
住所
東京都江東区豊洲三丁目2番20号豊洲フロント7階
電話番号

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