ノンフィクション「南洋のソングライン」発売のご案内
新たなノンフィクションが登場しました。著者は大石始さんで、彼の新刊『南洋のソングライン』では、かつて屋久島で歌われていた琉球音階を取り入れた民謡「まつばんだ」の歴史に迫ります。この本を通じて作者は、屋久島がいかにして琉球文化圏からは離れた存在でありながらも、琉球の名残を持っているのか探求しています。
琉球音階と屋久島の関係
「まつばんだ」は、多くの人に忘れられた民謡であり、屋久島でふと耳にすることができる歌の一つでした。しかし、なぜ屋久島のこの民謡が琉球音階を持っているのか、長年の間調査があまり行われていませんでした。そこで、大石始さんは3年間のフィールドワークを行い、沖縄から鹿児島、さらに南西諸島までの地域に住む海洋民たちの生活史をさぐり、その謎に挑みました。
調査の旅
この本では、作者が屋久島を訪れ、地域の人々と出会い、彼らの物語を収集しながら、「まつばんだ」を復活させようという島民たちの奮闘も描かれています。特に、コロナ禍の厳しい状況の中で、音楽がどのように人々を結びつけ、また何を意味するのかを問う旅となっているのです。
推薦の言葉
推薦コメントには、シンガーソングライターの宮沢和史さんが寄せた言葉があります。「消えゆくものは消えてゆく」という彼の言葉は、過去を忘れないことで未来に運ばれる可能性を示唆しています。また、アーティストのコムアイさんや写真家の石川直樹さんのコメントもあり、歌と自然との関係、そしてそれらが形成する新たな地図について触れています。これらの視点も、この本の魅力を一層引き立てています。
目次と内容
本書の目次には、屋久島の歌の歴史や自然、先住民と移住者たちの影響、そして屋久島特有の海の暮らしや山の繋がりについて詳細に描かれています。特に、島の文化や歴史に対する外部からの視点を取り入れ、非常に多層的な物語が繰り広げられます。
書誌情報
- - 著者: 大石始
- - 発行: キルティブックス
- - 価格: 2,640円
- - 初版部数: 3,000部
本書は、屋久島の「まつばんだ」を通じて、地域の歴史と文化を知るための貴重な手がかりを提供する一冊です。これからも続く、歌と人々の物語を知る旅に出かけませんか?再び忘れ去られることのないよう、あなたの手元にこの本を取り入れてみてはいかがでしょうか。