AI時代のCMOが直面する課題と成長戦略とは

AI時代におけるCMOの新たな課題

日本IBMは2025年のCMOスタディを発表し、マーケティング責任者が直面するAI時代の課題を浮き彫りにしました。調査には世界中の1,800名のCMOが参加しており、AI戦略の重要性に対して多くのCMOが認識しているものの、実行に関する複雑さについて過小評価していることがわかりました。

CMOのAI戦略に関する認識

調査結果によると、CMOの81%はAIがオペレーションを再構成し、戦略の実行力を高める「ゲーム・チェンジャー」であると回答しています。しかし、同時に84%（日本は88%）のCMOが、現行のオペレーションが硬直的かつ分断されており、AI技術を十分に活用できていないと認識しています。これは、彼らが「構想と実行のギャップ」に直面している証拠です。

54%のCMOが「AI戦略を成果に結び付ける運用の複雑さを過小評価していた」と認める一方、意思決定と業務効率を向上させるためにエージェント型AIをプロセスに組み込む準備が整っていると感じている組織はわずか20%程度です。

組織文化の変革

CMOの約25%が、AIエージェントがもたらす文化とオペレーションの変化に対して、従業員が準備できていると考えています。また、66%のCMOが新興テクノロジーを受け入れるために企業文化の改革が必要であるという自覚を持っています。この文化的変化の重要性は、業績向上に直結する責任が事業成長に影響を与えているからです。

CMOの6割以上が利益率向上の責任を感じ、58%が収益成長を牽引する義務を担っています。これは、テクノロジーの統合や部門横断的な連携が必要であることを示唆しています。実際に、部門間の連携が取れていないCMOは2024年に12%の収益成長を見込む一方、連携が取れている企業では13%の成長を達成しています。この1ポイントの差が、年商140億ドルの企業にとっては1億4,000万ドルに相当します。

CMOの優先事項と課題

CMOが最も重要と考える人材は、AIリテラシーを備えた人材であり、60%はこれが目標達成に不可欠であると答えています。しかし、自社に必要な人材が十分であると考えるCMOはわずか20%に留まっています。

さらに、組織がAIによる意思決定の自動化に必要なガイドラインを設けているのは259に過ぎず、ほとんどのCMOが新たな働き方に向けた指針を示していない現状にあります。これにより、業務のサイロ化やテクノロジーの断片化がパフォーマンスに悪影響を及ぼしています。

CMOは、マーケティング、営業、オペレーションを完全に連携させることで、収益が最大20%向上する可能性があると考えています。データ関連のマーケティングインフラストラクチャーの課題として、CMOは複数のシステムにまたがるワークフローの自動化やデータの断片化を挙げています。