ハプト藻の新発見
2025-05-11 20:15:24

岡山大学が解明したハプト藻の光化学系II構造の重要性と貢献

岡山大学が解明したハプト藻の光化学系II構造



岡山大学の研究チームが、海洋の環境維持に寄与するハプト藻から光化学系II(PSII)と、その周囲に結合するフコキサンチン・クロロフィルc結合タンパク質(FCPII)の構造を、2.2Å分解能で解明しました。この成果は、海洋バイオマスや炭素固定のプロセスにおいて重要な役割を果たすこの藻類のエネルギー変換メカニズムに新たな光を当てるものです。

研究の重要性


ハプト藻類は、海洋の生態系において重要な存在であり、全体の30〜50%のバイオマス生産を助けています。また、炭素固定にもおよそ10%を担っているため、その生態学的役割は無視できません。しかし、ハプト藻のエネルギー変換システムの詳細な働きについては、これまで十分に理解されていませんでした。

今回発表された研究では、岡山大学異分野基礎科学研究所のクライオ電子顕微鏡を駆使することで、ハプト藻の構造を高精度で解析しました。その結果、PSII二量体の両側に、合計12個のFCPIIが結合していることが明らかとなりました。この発見は、これまで知られていた他の藻類の光化学系とは異なることを示しています。

研究の方法と発見


研究チームは、PSII-FCPIIの構造を明らかにするために、クライオ電子顕微鏡(Titan Krios G4)を使用しました。この技術は、非常に高い分解能を持つため、信頼性の高いデータを得ることができました。特筆すべきは、これまで未同定であったサブユニットPsb36の配列を初めて特定できた点です。

また、FCPIIの一部は、エネルギーの伝達機能を持っており、余剰エネルギーを散逸させる役割を果たす可能性も示唆されています。この発見により、ハプト藻のエネルギー伝達メカニズムの理解が進み、さらにはPSII-FCPIIの進化に関する知見も提供しています。

学術的意義


本研究の結果は、国際的に権威のある学術雑誌「Nature Communications」に掲載され、多くの専門家から注目を集めています。今回の研究は、海洋の環境問題に対する新たな解決策を提示する可能性を秘めており、今後の研究の発展が期待されます。

研究を率いるRomain La Rocca助教は、法国から来た構造生物学者で、クライオ電子顕微鏡や生物物理学の手法を駆使して、タンパク質のメカニズムを明らかにしてきました。彼のリーダーシップのもと、岡山大学の研究チームは国際的に高い評価を受けています。

まとめ


今回の研究は、ハプト藻由来の光化学系II-アンテナ超複合体の構造を解明することで、海洋環境の維持に対する理解を深める重要なステップとなりました。この成果は、将来的な環境保護や持続可能な海洋利用に向けた道筋を示すものかもしれません。岡山大学のさらなる研究活動に注目が集まります。


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