建設業界の現状と課題
最近の調査によると、主要上場建設会社58社の2024年度の業績が前年度比6.9%の増加を記録し、売上高の合計が21兆3547億円に達する見込みであることが明らかになりました。この結果は、建設需要が堅調に推移したことや、資材や人件費の上昇を請負金額に反映させたことが要因とされています。
業績の背景
視点を新たにした今回の調査は、帝国データバンクによって実施され、58社の業績動向が分析されました。民間の建設需要が高まり、企業の受注数も増加したことが影響しています。特に民間からの受注高は、前年より8.3%の増加を見せており、これが業績好転の大きな要因とされています。
一方で、業界は今、深刻な人手不足に直面しています。「受注したくても人が足りず、受注できない」といった声が多く聞かれ、人材の確保や育成が急務であることを示しています。これは、建設業界全体の成長にも影響を及ぼす大きな懸念材料です。
売上総利益率の改善
売上総利益率も前年度比で0.6ポイントの改善に成功し、平均11.8%に達しました。これには、採算を重視した受注選別が寄与しており、上昇した資材や人件費を適切に請負金額に反映させる動きが進んでいます。しかしながら、依然として人手不足や物価上昇の影響が残るため、今後も注意が必要です。
受注高の増加
受注高についても、46社の総受注高が前年度比4.4%増の15兆8003億円となり、多くの企業で増加が見られました。この結果、首都圏の再開発や物流関連、データセンターの建設が活発な要因と言われています。特に、土木工事においては地域特有のインフラ工事がプラスに働くなど、様々な要因が影響を与えています。
繁忙状況と今後の展望
2025年に向けて、大手企業間の買収や合併が進行中であることも見逃せません。例として、インフロニア・ホールディングスが三井住友建設にTOBを発表し続いて大成建設が東洋建設に対してTOBを行うなど、業界再編が本格化しています。これにより、需要の高い現場での人手不足が加速する一方、競争が厳しくなる可能性があります。
最終的に、今後の業界動向を見守る中で、労働力の確保や人材育成に向けた施策は避けて通れない課題となるでしょう。建設業界には確実に成長の足りとも言える要素がありますが、その成長を持続させるためには多くの難題にも直面し続けることが予想されます。また、建設コストの上昇や工期の長期化といった要因が今後の業界の健全性にどのように影響するのかも注目されます。