格付ロジック改定による格付変動の影響
リスクモンスター株式会社が2024年6月に実施した「第18回格付ロジック改定」による調査結果が発表されました。この調査は、法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供する同社において、企業の格付の変動状況を評価するものです。以下では、その主要な結果と背景を詳しく解説します。
調査概要と結果
2024年6月16日時点の調査結果によると、全体で39,936件の企業が格付変動を示し、構成比は3.1%となりました。この中で、格上げが12,500件、対して格下げは27,436件と、格下げが圧倒的に多い結果となりました。過去の調査では格上げ傾向が続いていたため、今回の格下げの傾向は注目されるポイントです。
全ての業種において、低格付企業の増加が目立ち、特に「サービス業」で格下げが顕著に見られました。741件がA~D格からE・F格へ移行しています。インバウンド需要の回復などの追い風がある一方で、人手不足や物価の上昇といった厳しい状況が企業に影響を与えています。これにより、商品・サービスの価格戦略の見直しやデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が進む一方、見直しを行わなかった企業にとっては厳しい状況が続いていると考えられます。
日本経済の現状と格付変動の関係
日本経済は一見明るい兆しもあるものの、ウクライナやイスラエルの情勢不安、急激な円安、さらには物価の高騰といったリスク要因が多く存在します。また、賃上げやゼロ金利政策の解除など、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変わりつつあります。これらは企業の存続や倒産に直結する重要な要素です。
リスクモンスターは、こうした経済と政治情勢の変化を考慮し、企業の収益性分析に力を入れています。AIを活用した分析によって、複数の決算期を通じた中期的な収益推移を把握し、企業の倒産予兆を正確に捉えることが可能となっています。
今後の展望
リスモンでは、定期的に格付ロジックを改定し、時勢にマッチした分析手法を取り入れることで、より高い倒産判別精度を実現し、安全な取引の拡充に向けて努力していく方針です。企業が将来に渡って生き残るためには、事業環境の変化にすばやく対応し、適切な戦略を策定することが求められます。
まとめ
今回の調査は、企業の信用力や経済環境の厳しさを浮き彫りにするものであったと言えます。リスクモンスターは、この情報を活用して、企業が安定した経営を続けられるよう、さらなる支援を行っていくことでしょう。詳細な調査データについては、リスクモンスターの公式サイトでご確認いただけます。
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