医師の8割以上が感じる診療科の偏在に関する調査結果
株式会社リクルートメディカルキャリア(東京都千代田区)が実施した調査によると、全国の318人の医師のうち、およそ84%が診療科の偏在を日常の診療の中で実感していることが明らかになりました。この調査は、医療現場での医師数の偏りや、その要因、そして診療科選択の理由、さらには偏在を是正するための支援について調査したものです。
診療科偏在の実態
調査結果から、医師の日常業務において、さまざまな診療科の医師数や配置に偏りがあると感じる医師が多いことが確認されました。具体的には、内科系や外科系を問わず、当直や救急対応の際に困難さを感じる声が多数寄せられています。特に、専門医が不足している科目では、業務が重くなりがちで、医師からは「緊急時の対応が厳しい」といった不満も上がっています。
偏在を実感する具体的な場面
フリーコメントの中で、医師は特に当直や救急対応時に偏在を実感しているとされています。内科医からは「外科医の不足を感じる」といった意見が寄せられ、外科医からも「科によって当直回数が大きく異なる」との声があり、診療科によって格差が生じている現状が浮き彫りになりました。また、医師の間では「特定の専門医が地域に不足している」との認識も広がっています。
診療科偏在の原因
診療科間の偏在の一因として、医師が指摘したのは「勤務負担の差」でした。53%がこの要因を挙げ、当直や緊急対応など日常業務によって課される負担が、診療科の人気や医師の選択に影響を与えていることが浮き彫りになりました。また、診療科毎の扱われ方や待遇も影響しており、これが偏在を生む一因となっていることが確認されました。特定の診療科では、高リスクな医療行為や業務量が、医師選びに影響を与えています。
医師が考える診療科選択の理由
さらに、医師に対する聞き取り調査では、診療科を選ぶ理由が「専門性への関心」や「やりがい」に依るものが高い傾向にあることが分かりました。内科系では特に、「専門的な疾患に関心があった」との声が51.1%に及ぶ一方、外科系にも同様のトレンドが見られました。一方、その他の診療科では、ワークライフバランスが相対的に重視されています。このことは、診療科選択の動機において、単に医療的なニーズのみならず、生活環境や働き方も大きな要因となっていることを示唆しています。
偏在是正に向けた支援
診療科偏在を是正するために必要な支援については、医師から「給与制度の見直し」が多く挙げられました。具体的には、業務の重みや責任に応じた報酬の見直しや、労働条件の改善が求められています。医師間でのワークシェアや、より柔軟な勤務体制の構築が必要との意見も多く、この面で多様な提案がされています。地域医療においては、よりバランスの取れた医師配置が求められる中で、医療機関の集約化や診療科ごとの定員設定が議論されています。加えて、「具体的にどのように改善すればよいか分からない」との慎重な意見も、医療現場からは浮かび上がっています。
総括
本調査を通じて、医師が感じる診療科の偏在は、単なる人数の問題にとどまらず、医療の質にも影響を及ぼします。働き方や待遇改善の流れを踏まえ、診療科の偏在を解消するためには、医師の意見や実感に基づいた政策が重要です。これからの医療界においては、医師一人ひとりのキャリアや働き方を考慮し、柔軟で支援的な環境が求められています。