変異株に有効な抗体
2024-11-13 11:37:38

新型コロナ変異株に有効な抗体発見!広域中和抗体への道が開けるか?

熊本大学などの研究グループが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株にブレークスルー感染した患者の血液から、複数の変異株に対して効果を示す中和モノクローナル抗体を発見しました。この発見は、新型コロナウイルスの変異株に対抗する新たなワクチン開発や治療法開発に繋がる可能性を秘めています。

研究グループは、デルタ変異株に感染した患者から分離した抗体の中から、オミクロン株を含む多くの変異株を中和できる抗体を見つけました。この抗体は、IGHV3-53/3-66遺伝子と呼ばれる遺伝子を持っています。この遺伝子は、抗体の可変部位をコードしており、抗体がウイルスに結合する際に重要な役割を果たしています。

研究結果によると、IGHV3-53/3-66遺伝子を持った抗体は、体細胞超変異と呼ばれるプロセスを経て、様々な変異株を中和できる広域中和抗体へと成熟する可能性が高いことが示唆されました。体細胞超変異は、抗体が成熟する過程で起こる変異のことで、抗体の親和性を高め、より効果的にウイルスに結合することを可能にします。

この研究成果は、従来型ワクチンの接種や新型コロナウイルス感染によって誘導される抗体を、広域中和抗体へと成熟させるワクチンの開発に繋がる可能性を秘めています。従来型ワクチンは、特定のウイルス株に対する抗体産生を誘導しますが、変異株に対しては効果が低下することがあります。しかし、広域中和抗体を誘導するワクチンを開発することで、様々な変異株に対して効果的な免疫を獲得することが期待できます。

さらに、研究グループは、K4-66抗体と呼ばれる、IGHV3-53/3-66遺伝子を使用する抗体が、オミクロン株のEG.5.1、JN.1を含む全ての変異株を中和することを確認しました。また、K4-66抗体は、ハムスターの肺におけるXBB.1.5変異株の増殖を抑制することも示されました。このことは、K4-66抗体が、感染防御に有効である可能性を示しています。

今回の研究成果は、新型コロナウイルスの変異株に対抗する新たな治療法やワクチン開発の基礎となる重要な発見です。今後、さらなる研究を通して、広域中和抗体を誘導するワクチンの開発や、中和抗体を用いた治療法の開発が進むことが期待されます。


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