日本ゼオンと横浜ゴム、ブタジエン生成の新技術に挑む
日本ゼオン株式会社と横浜ゴムは、植物由来のエタノールを用いてブタジエンを高効率で生成する技術に関する実証実験を行うことを発表しました。このプロジェクトは、2022年に採択された国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の一環で、ブタジエンの生成を通じて持続可能な社会の実現を目指しています。
プロジェクトの概要
新たに設立されるベンチ設備は、山口県周南市に位置するゼオンの徳山工場内に設けられ、2026年より稼働を開始します。この設備は、ブタジエンの量産に向けた様々なデータを収集するために利用され、将来的には商業化へとつなげていくことが期待されています。
実施される実証実験では、エタノールを高効率な触媒によってブタジエンに変換することを実証し、植物原料からの合成ゴムの量産化に向けた重要なステップとなります。ゼオンは、この技術を用いて生成したブタジエンからポリブタジエンゴムを試作し、横浜ゴムはそのブタジエンゴムを用いてタイヤの試作や走行テストを実施し、データ収集に努める予定です。
環境への影響
ゼオンと横浜ゴムは、今回の取り組みによって、ゴムおよびタイヤ産業における循環型経済とカーボンニュートラル化を促進し、持続可能な未来に寄与することを目指しています。これにより、将来的には温室効果ガスの排出ゼロを達成するという国の目標にも貢献できると考えています。
2030年代に向けたビジョン
このプロジェクトの最終目標は、2030年代に植物原料から高効率でブタジエンおよびイソプレンを生成する技術を社会に実装することです。ゼオンと横浜ゴムは、国立研究開発法人産業技術総合研究所や東京科学大学、理化学研究所などとの連携により、技術を進化させ、事業化を2034年に目指しています。
グリーンイノベーション基金事業は、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを目指し、企業の研究開発を支援する制度です。今回の実証実験が成功すれば、次世代のゴム産業やタイヤ市場に革命をもたらす可能性を秘めています。
日本ゼオンと横浜ゴムの連携は、環境に優しい材料開発の先駆けとなり、持続可能な未来の構築に寄与することが期待されています。今後の展開に目が離せません。