ドローンを使った革新的な暑熱対策
近年、異常気象による猛暑が酪農業界に深刻な影響をもたらしています。この問題に立ち向かうため、デザミス株式会社と宮城県酪農農業協同組合がタッグを組み、ドローンを使用した「酪農施設暑熱対策緊急実証事業」を開始しました。これは、酪農家が持続可能な経営を行えるよう、生乳生産量の安定化を図るためのプロジェクトです。
ドローンの力で暑熱対策
本事業では、県内6つの酪農家の牛舎でドローンを利用して、牛舎屋根に耐久性のある遮熱剤を塗布しました。この方法により牛舎内の温度上昇を抑えることが期待されています。牛舎の暑さ対策を行うことで、生乳生産量の減少幅を縮小し、繁殖成績の向上も目指します。
従来の施工方法では、高所での作業が必要で、足場の設置や長期間の工期が課題となっていました。しかし、ドローンを導入することで、非接触で安全に作業ができ、高所や傾斜面など困難な場所にも対応可能になりました。これにより、作業効率が大幅に向上しています。
モニタリングシステム「U-motion®」との連携
施工後の環境改善を効果的に確認するため、牛の行動モニタリングシステム「U-motion®」を活用しています。このシステムにより、牛の採食時間や行動の変化をデータに基づいて分析することができ、暑熱対策の有効性が測定されます。昨年、徳島県で行われたモデル施工では、施工後の採食時間が約10%増加したことが確認されており、牛が快適に過ごせる環境の改善が証明されています。
今後の展望と持続可能な酪農経営
本プログラムは、ドローンを用いた暑熱対策が補助事業として初めて採択された取り組みです。デザミスと宮城県酪は、得られた知識を活用し、今後、全国の酪農現場に向けたモデル事例として発信する予定です。「施工して終わり」ではなく、データに基づく効果検証を行うことで、経営判断にも活かせます。
宮城県酪の上野栄公組合長もコメントを寄せており、「新たな選択肢を提示し、酪農現場における暑熱対策の強化に向けた第一歩」と述べています。ドローンを活用した施工方法は、高所での作業安全性を向上させ、短期間で完了することからことから、実用化に期待が寄せられています。
まとめ
本事業は、持続可能な酪農経営を実現するための重要なプロジェクトです。デザミスが運営する畜産専門の通販サイト「U-マルシェ」では、このドローン施工サービスについての相談も受け付けています。今後も酪農業界全体の課題解決に向けて、関係企業と連携しながら取り組んでいく予定です。