高齢者の食と自己調理の実態
株式会社日本能率協会総合研究所が発表した「高齢者 普段の食事調査2025年」によると、現在80代の高齢者の約半数がオーラルフレイルの状態にあるとされています。この調査は60から90歳の男女を対象に行われ、普段の食事に関する意識や実態を幅広く捉えた結果が示されています。
オーラルフレイルとは何か?
オーラルフレイルは、口腔機能の健康状態と口の機能低下の間の状態を指します。調査によれば、80代では自身の歯が20本以上残っている割合が半数を下回る結果が示されました。特に70代後半までの調査では、歯の本数が20本以上の人が6割未満になる傾向が見られ、80代になるとこの割合が5割を切ることが明らかになっています。
自炊をする高齢者の増加
この調査では、家族が作った食事の頻度が減少し、自分で作る食事が増加していることも指摘されています。特に80代後半の高齢者は、自分で作る食事の回数が2019年の調査から大幅に増加し、男性では月に6.2回から14.7回、女性では24.5回から37.6回へと変わりました。一方で、家族によって作られた食事の頻度は減少し続けています。
冷凍食品の需要増加
さらに、調査結果からは冷凍食品の利用が増加していることがわかります。最近の調査では自身がほとんど冷凍食品を食べないと答えた高齢者の割合が減少しており、特に80代前半の男性でその傾向が顕著です。これにより、高齢者が冷凍食品をより多く取り入れるようになっていることが確認されました。
食事への意識の変化
また、食事に関する意識も大きな変化を見せています。「食べやすさ」よりも「おいしさ」を重視する高齢者が増えており、全体の約7割が好きなものやおいしいものを優先する傾向が見られました。特に男女ともにこの傾向が強まっており、特に男性高齢者の間でその傾向が顕著に見られます。
まとめ
この調査から、高齢者が食事に対する意識を変化させ、自分で料理をすることへと移行していることが理解できます。同時に、オーラルフレイルへの対応として食べやすい食品の選択を重視する傾向も見られ、冷凍食品の利用増加がそれを裏付けています。今後は、高齢者の食の主体性向上がさらに進むと期待されます。この調査の結果を受け、食品業界や社会全体が高齢者の食生活を支える取り組みが求められていると言えるでしょう。