アジア不動産投資額最高
2024-11-11 14:46:13

アジア太平洋商業用不動産投資額、2022年以来最高額を記録 - JLL調査

アジア太平洋地域の商業用不動産投資額が2022年以来最高額を記録 - JLL調査



総合不動産サービス大手JLLの調査によると、2024年第3四半期のアジア太平洋地域の商業用不動産投資額は、前年同期比82%増の388億米ドルとなり、2022年の利上げサイクル開始以来最高額を記録しました。前年同期比でも4四半期連続の増加となっています。年初来(2024年1-9月)の投資額は、前年同期比28%増の963億米ドルとなっています。

各セクター・地域における投資額の増加



賃貸住宅を除くすべての主要な不動産セクターで投資額が拡大しました。特にクロスボーダー投資額は、海外投資家によるオフィスと物流施設に対する強い関心が下支えし、年初来で前年同期比6%増の145億米ドルとなりました。

地域別では、韓国は、大型オフィスの売買案件が復活し、アジア太平洋地域で最も投資活動が活発な市場となりました。日本の2024年第3四半期の投資額は84億米ドルとなり、過去最高の訪日外客数を背景とした大規模なホテルポートフォリオの取得が原動力となりました。シンガポールも好調で投資額は44億米ドル、前年同期比118%増となりました。これは、インダストリアル、リテール、ライフサイエンスに対する機関投資家の強い需要によるものです。

今後の見通し



JLLアジアパシフィック キャピタルマーケット CEO スチュアート・クロウ氏は、「2024年第3四半期は多くの要因が重なり、アジア太平洋地域の投資額が拡大しました。今後も主要市場で借入コストの緩和が予想されており、この傾向はさらに勢いを増すと考えられます。不動産価格の底打ちと相まって、2025年は新規参入のプレーヤーにも良い年となり、既に参入しているプレーヤーにとってはより優位な環境になると予測しています。」と述べています。

オフィスと物流施設への投資が引き続き活発



地域全体の投資額をみると、オフィスと物流施設への投資が全体の半分以上を占めました。オフィスセクターでは、堅固なオフィスファンダメンタルズを背景にソウルと東京での投資活動が好調でした。ソウルにおいては、2025年はAグレードオフィスの供給がないことからオフィス需要が高まっており、賃料上昇率がインフレ率を上回っています。東京は、Aグレードオフィスの空室率が3%前後を推移しており、賃料は3四半期連続で上昇しました。

物流セクターでは、大規模なポートフォリオ取引が投資活動をけん引しており、賃料見通しが堅調な日本の物流施設に対して国内外の投資家は強い投資意欲をみせています。オーストラリアの物流施設への投資も回復し、シドニーやメルボルンなどのゲートウェイ市場で顕著でした。

データセンターなどインフラへの投資も増加



また、デジタルインフラ、再生可能エネルギー、エネルギー安全保障などインフラへの投資が活発化している世界的な潮流を受けて、不動産の新たな投資アセットクラスとされるデータセンターのような大規模インフラへの投資も増えています。2024年上半期には、アジア太平洋地域を投資対象としたインフラファンドの資金調達が好調で、投資額は132億米ドルとなりました。2023年の世界の新規再生可能電力容量の70%をアジア太平洋地域が占めており、再生可能エネルギーの供給をけん引していることから、さらに多くの資金がインフラ投資へ流入すると予想されます。

金利動向と不動産透明度



JLLアジアパシフィック インベスターインテリジェンス ヘッド パメラ・アンバー氏は、「地域全体でインフレの緩和が進み、米FRBが金融緩和に動き出すにつれ、各国の中央銀行も利下げサイクルを開始しています。不動産利回りも同様の傾向をたどる可能性がある一方で、長期金利は過去10年間よりも高い水準に留まると予想されます。アジア太平洋地域では不動産透明度の改善も進んでおり、2022年以降の不動産データの改善値が最も顕著な地域です。透明度の向上とともにより投資が活発になることで、投資家の投資意欲にもよい影響をもたらすことを期待します。」と述べています。

日本の不動産投資市場



JLL日本 キャピタルマーケット事業部 リサーチディレクター 内藤 康二氏は、「日本の不動産投資市場は、世界で唯一といってよいレバレッジ効果が得られる良好な借り入れ環境も相まって、引き続き国内外の投資家から選好されています。アジア太平洋地域の投資額が2022年以来の最高額を記録したのも、日本市場の貢献が極めて大きかったものと考えます。日銀の今後の金利政策には注意が必要なものの、当面の間は現状の金融政策が続くと思われ、そこに日本の不動産投資市場が持つ安定性が今後も投資家を惹きつけるものと思料されることから、今後益々投資市場は活発化すると確信しています。」と述べています。

詳細については、JLLのレポート(英語のみ)をご覧ください。

https://www.joneslanglasalle.co.jp/en/trends-and-insights/research/asia-pacific-capital-tracker-q3-2023

JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。

フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約111,000名を擁し、2023年の売上高は208億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。https://jll.com


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