アテゾリズマブが胸腺癌治療に新風を巻き起こす
順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下、順天堂医院)が主導した医師主導治験により、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブが胸腺癌の治療において新たな保険適用を受けることが決まりました。この決定は2025年12月22日から有効となり、胸腺癌患者に新しい治療の選択肢を提供することになります。
医師主導治験「MARBLE試験」
順天堂医院が主体となって実施した医師主導治験「MARBLE試験」では、アテゾリズマブを用いた治療薬の効果を検証しました。この試験は、国内15の医療機関が協力し、胸腺癌に対する治療の向上を目指す重要な取り組みです。
試験の成果として、アテゾリズマブを含む併用療法は客観的奏効率56%を達成し、無増悪生存期間の中央値は9.6ヶ月という結果が出ました。この数値は従来の標準治療と比較しても大きな前進となっており、多くの患者にとって新しい希望をもたらします。
希少疾患としての胸腺癌の現状
胸腺癌は非常にまれな疾患で、10万人に対してわずか0.15件の頻度で発生します。特に進行・再発した胸腺癌の予後は厳しく、治療開発には強い医療ニーズがあります。この背景から、順天堂医院の研究チームは新たな治療法の必要性を感じ、今回の治験に臨みました。
アテゾリズマブのメカニズム
アテゾリズマブはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬で、がん細胞による免疫抑制を解除することによって、体の免疫機能を回復し、がんの進行を抑制します。この治療法は従来の化学療法に比べて、副作用も管理可能であることが成功の要因とされています。
治験においては、患者48名が参加し、導入療法として、カルボプラチンとパクリタキセルにアテゾリズマブを併用しました。結果として、良好な病勢制御率(DCR)98%も達成し、効果的な治療戦略としての地位を確立しました。
今後の展望
順天堂医院は、臨床研究中核病院として、引き続き革新医療技術の開発に取り組み、胸腺癌を含めた希少がんの治療方法を拡充していく計画です。多施設との連携により、実臨床データの収集やトランスレーショナルリサーチを進めており、さらなる治療戦略の確立を目指しています。
結論
アテゾリズマブの胸腺癌に対する適応拡大は、病に苦しむ患者にとって新たな希望の光となります。順天堂医院の取り組みは、今後の治療法の選択肢を大きく変えていくことでしょう。進行する臨床研究により、さらに効果的なアプローチが期待されます。