MI-6株式会社とキシダ化学が共同開発した新しい電解液
MI-6株式会社がキシダ化学と共同で、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用した新しい高性能な難燃性電解液の開発に成功しました。この取り組みは、リチウムイオン電池のさらなる高性能化を目指すものであり、今後の素材産業において大きな影響を与えると期待されています。
マテリアルズ・インフォマティクスとは
マテリアルズ・インフォマティクスは、情報技術と材料科学を組み合わせて新素材や代替材料を迅速かつ低コストで探索する手法です。日本の素材産業は約120万人の従業員を抱え、20兆円の付加価値を生み出しています。しかし、グローバルな競争が進む中で、新興国メーカーの台頭などにより市場シェアが減少しています。このため、イノベーションの向上が求められています。MI-6株式会社は、2017年に設立され、バイオインフォマティクスや情報学に関する専門家たちが集まり、素材産業の発展を目指しています。
電解液の挑戦
商業用のリチウムイオン電池は、高容量化と高出力化を実現するために性能を追求しつつ、安全性の確保も必要とされています。しかし、電解液の可燃性が広く知られているため、これを難燃化するための材料探索が続けられてきました。従来の難燃剤は電池性能を低下させるという課題があったため、この問題を解決する研究が待ち望まれていました。
成果の概要
新たに開発された難燃性電解液は、MIを活用することで難燃剤を含まない場合と同等の電池性能を維持することが可能になりました。具体的なプロセスは以下の通りです。
1. キシダ化学が保持している実験データを基に、物性値と電池性能の相関性を算出。
2. ベイズ最適化手法を用いて、さまざまな化合物に対する評価を行い、最も推薦度が高い物質を特定。
3. 特定された物質を電解液に適用し、その性能を検証。
このアプローチにより、新しい電解液は優れた性能を示し、難燃性と性能を両立させることに成功しました。
今後の展望
今回の実証実験により、マテリアルズ・インフォマティクスの適用が材料開発において極めて有効であることが確認されました。今後は、電子材料や機能性素材、スペシャリティケミカルなど多岐にわたる素材に対して、同手法を使っての効率化が期待されます。MI-6株式会社は今後もキシダ化学や三井物産と連携し、研究開発や普及に努め、国内素材産業の発展を支援していく方針です。
企業情報
所在地:東京都港区海岸1丁目2番3号汐留芝離宮ビルディング21階
設立:2017年11月17日
代表者:木嵜基博
URL:
https://mi-6.co.jp
所在地:大阪市中央区本町橋3番1号
創業:1924年
代表者:岸田 充弘
URL:
http://www.kishida.co.jp/com/index.html
この新しい難燃性電解液は、リチウムイオン電池の安全性を高め、同時に性能向上を目指す道筋を切り開くものです。今後の進展に注目です。