光透過型アンテナ
2025-12-24 12:40:20
東京工芸大学が透明性と効率を両立した光透過型アンテナを開発
東京工芸大学が開発した光透過型アンテナ
2023年に創立100周年を迎えた東京工芸大学の工学部にて、高い放射効率と透明性を両立させた光透過型アンテナが開発されました。越地福朗教授をはじめ、安田洋司准教授、内田孝幸教授、山田勝実教授の研究チームによって生み出されたこのアンテナは、放射効率81.6%、透明性76.7%を実現しています。これは、次世代の通信システムにおける大きな進展を意味します。
開発背景
現代の都市では、スマートシティの構築が進められており、5G/6Gを含む様々な通信技術が求められています。しかし、通信インフラの整備に伴うアンテナ数の増加が景観に悪影響を及ぼすことが課題となっていました。そこで、大学の教授陣は外観と景観に調和した透明なアンテナを目指すことに決定し、研究を開始しました。この光透過型アンテナは、設置場所に縛られず、周囲の景観に溶け込むデザイン性を持つことが求められました。
技術的な革新
通常のアンテナは金属材料で構成されているため透過性がないという限界があります。しかし、この新しい光透過型アンテナは、金(Au)や銀(Ag)などの高導電性金属薄膜を誘電体薄膜で挟み込む「誘電体–金属–誘電体(DMD)構造」を採用することにより、放射効率と透明性の両立を実現しました。その結果、これまでの透明なアンテナの多くが抱えていた放射効率の限界を突破することができたのです。
今後の応用可能性
越地教授は、「光透過型アンテナはテクノロジーとアートが交差する地点に位置している」と述べています。透明であることがこのアンテナのデザインにおいて最大の強みであり、色やデザインを自由に施すことが可能で、視覚的には何も描かれていないキャンバスのようです。今後、住宅の窓やガラス、さらには自動車や航空機、ドローンなどに目に見えない形で組み込むことができる透明なアンテナは、様々な分野での応用が期待されています。
まとめ
東京工芸大学の研究による光透過型アンテナは、未来の通信技術において重要な役割を果たす可能性があります。特許取得を控えながら、さらなる性能向上の研究が続けられており、その結果に大きな期待が寄せられています。透明で効率的な通信インフラの実現は、スマートシティを実現する上での重要な要素となることでしょう。今後の進展に注目です。
会社情報
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東京工芸大学
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