透析後疲労の改善に向けた新たな取り組み
慢性腎不全の患者にとって、人工透析は生活の一部として不可欠な治療です。しかし、透析後の疲労感が多くの患者にとって長年の悩みの種でした。そんな中、東京都江戸川区に位置する新小岩クリニック船堀が、株式会社日本トリムが開発した「電解水透析®システム」を導入し、この問題に立ち向かうことが期待されています。
この新しいシステムは、透析患者のQOL(生活の質)の向上を目指しています。2023年にはアメリカ国立衛生研究所(NIH)から、透析後疲労の治療法の開発が求められるとのコメントがあり、電解水透析®システムの重要性が再認識されています。
電解水透析®システムとは
「電解水透析®」は、血液透析に使用される透析液に水素を含ませることで、血中の酸化ストレスや炎症の軽減を図る治療法です。このシステムを用いることで、透析患者の血圧が安定し、さらには降圧薬の使用低減や疲労感の軽減も期待されています。
また、2018年に東北大学との共同研究においては、電解水透析を受けた患者の死亡や心脳血管病のリスクが41%低下したことが確認されました。2022年には、別の研究機関と共同で重度の疲労感の低減を実証し、その作用を高める要因も発見されました。これらの結果は、国際的な専門誌にも発表され、注目を集めています。
新小岩クリニック船堀の概要
新小岩クリニック船堀は、慢性腎不全患者への人工透析を専門に行っています。医療施設には75床の透析ベッドと50名以上のスタッフが揃い、さらなる患者支援に努めています。クリニックの歴史は約40年に及び、2001年には新小岩クリニックの分院として開設されました。
この施設では、患者の自立を支援する医療を提供し、内科や透析に関わる幅広い医療サービスを展開しています。新小岩クリニック船堀が新たに導入した電解水透析®システムによって、より良好な治療環境を提供できることが期待されています。
西尾副院長のコメント
このシステムの導入に際し、新小岩クリニック船堀の西尾信一郎副院長は、長年の願望が叶ったと語っています。「電解水透析は多くの素晴らしい成果が報告されており、患者の生活の質を改善する手助けができると信じています。この新しい透析機器の質の向上を通じて、患者の健康に寄与できることを願っています。」
日本トリムの革新
株式会社日本トリムは、1982年に設立され、医療機器の分野で革新的な製品を開発してきました。特に「電解水透析」の開発には、長年にわたる産官学共同研究が寄与しています。彼らの研究によって、水素の抗酸化作用が確認され、今では多くの医療機関でその成果が実証されています。
電解水透析は、透析患者の治療だけにとどまらず、農業など様々な分野にも応用されており、今後の進展が期待されます。たとえば、現在日本国内では35の医療機関に導入されており、これらが提供する電解水透析を受けられる患者数は1000人を超えています。
結論
透析後の疲労感に対する取り組みが進む中、新小岩クリニック船堀の導入した電解水透析システムが、患者さんの生活の質を改善する一助となることが期待されています。慢性腎不全患者のための新たな治療法が、今後どのように展開されていくのか、その動向に注目です。