鉄道輸送を活用した鋼材輸送の新しい風、アイ・テックの挑戦
アイ・テック株式会社(静岡市清水区、代表取締役社長 大畑大輔)が、トピー工業株式会社や日本貨物鉄道株式会社と連携し、鋼材輸送における新たなモーダルシフトを実施することを発表しました。この取り組みは、トピー工業で製造された鋼材製品をアイ・テック北上D・M・Cへ輸送する際に、従来のトレーラー輸送から鉄道輸送へと切り替えるというものです。
背景と目的
アイ・テックは、鋼材を豊橋市のトピー工業から北上市へと運ぶ際、従来は約1,600kmの距離をトレーラーで往復していました。しかし、2024年から施行される働き方改革関連法により、時間外労働の制限などが影響し、トレーラードライバーの確保がますます困難になると予測されています。また、長距離輸送によるCO₂の大量排出も、大きな環境問題となっていました。
これらの課題への対応として、アイ・テックはトピー工業や日本货物鉄道、浜松委托運送、三八五通運との協議会を設立し、鋼材輸送を鉄道に移行することを決定しました。
モーダルシフトの具体的な内容
新たに設立されたモーダルシフト豊橋北上コンテナ輸送協議会では、トピー工業豊橋製造所からアイ・テック北上D・M・C間の輸送を、JR貨物を通じて鉄道輸送に切り替える方法が採用されます。この変更により、トレーラーの総走行距離を大幅に短縮することができ、年間走行時間を約61%削減し、CO₂排出量も65%カットできる見込みです。
具体的には、トピー工業からの鋼材は、最初にトレーラーを利用してJR貨物西浜松駅へ運ばれ、その後、鉄道を使って盛岡貨物ターミナル駅まで輸送されます。最後に、盛岡から再びトレーラーで北上D・M・Cへ輸送されるという流れです。
環境への配慮と未来像
このモーダルシフトによって、長距離輸送によるCO₂排出の課題を解消し、持続可能な鋼材納入が可能となります。また、アイ・テックは以前から環境問題に取り組んでおり、太陽光パネルの設置やEVトラックの導入などの活動を行っています。
業界への影響
この取り組みは、業界内で注目されており、鋼材流通商社が中心となり、メーカーや運送業者と協力して運送方法のモーダルシフト化へ取り組むのは、非常に革新的です。今後、アイ・テックは新たに導入した鉄道輸送の効果を検証し、さらなるコンテナの増設も視野に入れています。
まとめ
アイ・テックの鉄道輸送へのモーダルシフトは、企業としての環境意識の高まりと、持続可能な物流実現に向けた重要な一歩です。長距離トレーラー輸送から、より効率的かつ環境に優しい鉄道輸送への移行は、今後の物流業界全体にとって模範となることが期待されています。