共同研究の概要
ライオン株式会社と株式会社サイキンソーは、口腔内の細菌叢(口内フローラ)と腸内の細菌叢(腸内フローラ)の関係を調査した結果、興味深い発見をしました。この研究は、2025年に福岡県で開催される第67回歯科基礎医学会学術大会で発表されます。
研究の重要性と背景
近年、口腔と腸内の健康状態の相関関係が注目されています。口腔は消化管の入り口であり、口内フローラが腸内環境に与える影響が期待されています。ライオンは、口内フローラのバランスを整えることで、腸の健康が向上する可能性を探求しています。過去の研究でも、良好な口腔の状態が全体的な健康に寄与することが示唆されており、今回の研究もその延長線上に位置します。
主な発見1:ナイセリアの影響
研究の結果、口腔内に多く存在する「ナイセリア」という細菌が、腸内フローラの多様性と関連していることが分かりました。この細菌はコミensalな特性を持ち、良好な口腔状態を示すバイオマーカーとして機能する可能性があります。ナイセリアが豊富な口内フローラは、腸内フローラも多様性に富んでいる傾向があることが示され、腸内環境の健康度が高いことにつながります。
主な発見2:ヴェイロネラとミュータンスの関連
一方で、「ヴェイロネラ」やう蝕の原因となる「ミュータンス」の割合が高い人々では、腸内フローラの多様性が低いことが確認されました。これらの細菌が口内フローラに多い人々は腸内でも同様の細菌が見つかる可能性が高く、口内環境が腸内環境に及ぼす影響が強いことを示しています。この相関関係は、口腔の健康と腸内環境の健全性が密接に関連していることを示唆しています。
今後の展開
ライオンは、これらの結果を基に、口内フローラのバランスを整える新しいオーラルヘルスケア習慣を提案し、口腔の健康が全身に与える影響をさらに広げる研究を続ける方針です。また、サイキンソーは腸内フローラ検査サービスを通じて、個々の健康改善に向けた情報提供を行っています。この共同研究の結論は、将来的には「口腔ケアを通じた腸活」を支える重要な指針となることでしょう。
最後に
口腔内の健康が腸内環境に及ぼす影響についての洞察は、今後のヘルスケアのアプローチにおいて新たな視点を提供します。この知識を基に、ライオンとサイキンソーはさらなる研究とサービス展開を行い、人々の健康増進に貢献していきます。