岐阜大学、一次元常磁性化合物の合成に成功
岐阜大学の研究チームが、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)の3種類の金属からなる一次元常磁性化合物の合成に成功しました。この研究は、新たな磁性材料の開発に向けた重要な一歩となります。
合成の成果
本研究では、RhとPt、Niを用いて、金属結合によって- Rh-Rh-Pt-Ni-Pt-という一次元構造を持つ新しい化合物を作成しました。この化合物の中で、Niは2つの不対電子を保持し、隣接するNiと反強磁性的相互作用を示すことが確認されました。特に、金属結合を介した磁気的相互作用が長距離でも強いことが証明された点が注目されます。
研究の背景と重要性
通常、物質内の磁気的相互作用は、その距離が近いほど強くなる傾向があります。しかし、本研究においては、異なる金属間の距離が広くても、強い反強磁性相互作用が見られました。これにより、今後の研究では、より多様な金属を用いた新しい磁性材料の開発が期待されます。
方法と結果
岐阜大学工学部の植村一広准教授を中心とする研究チームは、白金とニッケルがPt-Ni-Ptの構造を持つ金属錯体を、Rhの複核錯体で接続しました。エタノール中での混合反応を経て得られた一次元化合物の構造は、単結晶X線構造解析等で確認されました。結果として、各金属の酸化状態や不対電子の存在が明らかになり、これが単結晶での特徴として観察されました。
磁気特性の解析
さらに、55 K以下で反強磁性体としての振る舞いが確認されました。研究チームは、新しい金属結合による相互作用が、これまでの理解を超えるものであることを示しました。このような特性が実現できた理由として、金属イオン間の距離と相互作用のバランスが大きいと考えられます。
今後の展望
今回の成果を基に、岐阜大学の研究チームは、導電性と磁気物性の複合特性を持つ材料の特性調査をすすめ、さらには強磁性を目指したナノサイズの磁石の開発を目指すとのこと。これにより、産業界でも幅広い応用が期待される技術的進歩が見込まれます。
論文情報
本研究成果は、2024年8月11日に مجلة Angewandte Chemie International Edition にて正式に発表されました。この重要な成果によって、今後の磁性材料の研究が加速することに期待されています。