旭化成エレクトロニクス、Diracとの提携で新たな音響体験を実現
旭化成エレクトロニクス株式会社は、自社のオーディオ用デジタルシグナルプロセッサー(DSP)が、スウェーデンのオーディオテクノロジー企業Diracの高性能音響補正ソフトウェア「AudioIQ」に対応できるようになったことを発表しました。この提携により、自動車製品における音質が大きく改善され、より自然で臨場感のあるサウンド体験を提供可能になります。また、各車種ごとの音響チューニングにかかる開発工数の削減にも寄与します。
Dirac社の音響補正技術の特徴
Diracが提供する音響補正技術は、自動車にとどまらず、スマートフォンやヘッドホン、スピーカーシステムなど、幅広い分野で評価されています。特に、近年普及が進む電気自動車(BEV)においては、車内エンターテインメントが重要視されているため、その採用が加速しています。旭化成のオーディオDSPは、20年以上の歴史を持ち、すでに2億個以上が出荷されています。この豊富な経験により、自動車などのオーディオシステムで多くの実績を残しています。
今後この技術が加わることで、Diracの独特なアルゴリズムによる高度な音響最適化が実現され、音の透明性や空間表現が向上することが期待されています。
フラッグシップオーディオDSP「AK7709」の魅力
旭化成のフラッグシップ製品である「AK7709」では、Dirac社の補正技術「AudioIQ」に対応できる他、様々な音響補正技術を取り入れることが可能です。これにより、全ての搭乗者に楽しんでもらえる透明感のあるサウンド体験を提供します。
開発工数の効率化
Diracの先進的な半自動チューニング技術により、従来は数か月かかっていた手動での音響チューニングが大幅に短縮されます。音響DSPの動作には旭化成が技術サポートを行い、システム開発を迅速に進めることができます。このことは、製品開発のスピードに直結するため、市場競争力を高める要素にもなります。
多彩な音響ソリューション
旭化成が提供するオーディオとボイスソリューションの中で、Dirac社の技術を組み合わせることで、さらに音響効果を向上させることも可能です。具体的なソリューション例をいくつか見てみましょう。
1.
ダイナミックサウンドコントロール: 走行中の路面状況に応じて音のバランスを自動調整し、常に快適な音響空間を保ちます。
2.
カラオケ機能: 高音質でのプライベートカラオケ体験を車内でも実現。遅延の少ないエコーキャンセル機能を活用します。
3.
エンジンサウンドクリエイター: エンジンサウンドを再現し、電動車両でも多彩なエンジンサウンドを楽しむことが可能です。
4.
アクティブロードノイズキャンセル: 他社との連携により、走行中のノイズを逆位相音で打ち消し、静粛性を向上させます。
自動車業界における音響の重要性
当社のESプロジェクト長である藤田健氏は次のようにコメントしています。「電動化や自動運転が進展する中で、車内での“音”や“移動中の過ごし方”がより重要になってきています。しかし現実には、ロードノイズやスピーカー配置の制約があるため、音響環境の設定は容易ではありません。旭化成の長年の経験とDiracの技術の連携によって、開発やチューニングの工数を削減し、快適な移動体験を提供できることを期待しています。」
Dirac社について
Diracは、スウェーデンのウプサラを拠点とする世界的なオーディオテクノロジー企業で、音の透明性や臨場感を高めるアルゴリズムを提供しています。この技術は、自動車やスマートフォン、スピーカーシステムなど幅広い分野で採用され、音質向上に貢献しています。Diracは、デンマークのコペンハーゲンやインドのバンガロールに研究開発施設も持ち、中国、ドイツ、日本、韓国、米国にも拠点を展開しています。