製鉄CO2再利用技術実証開始
2024-07-08 16:32:50

世界初!製鉄分野の排出CO2を再利用する新技術の実証試験がベルギーで開始

世界初!製鉄分野の排出CO2を再利用する新技術の実証試験がベルギーで開始



アルセロール・ミタル、ディ・カーボン、三菱重工の3社は、製鉄分野における排出CO2を再利用する新技術の実証試験を、アルセロール・ミタルがベルギーに有するゲント製鉄所で開始しました。

この実証試験は、ディ・カーボンが開発したプラズマ変換技術を用い、回収したCO2を鉄鋼や化学製品の原料となるCOに変換するものです。ゲント製鉄所は、この一連のプロセスを実証する世界初の製鉄所となります。

CO2排出削減に向けた革新的な取り組み



ディ・カーボンは、再生可能エネルギーを利用し、プラズマによってCO2をCOに変換する技術を開発しました。この技術は、鉄鋼生産の電化という課題に対し、コスト効率と拡張性に優れたソリューションを提供します。変換されたCOは、製鉄プロセスに利用されるコークスや原料炭の一部代替として使用したり、化学品や代替燃料製造の原料としても活用できます。

三菱重工のCO2回収技術との連携



実証試験に用いられる高純度なCO2は、三菱重工が開発したCO2回収装置から供給されます。この装置は、ゲント製鉄所において高炉ガスと圧延再加熱炉の排ガスからCO2を回収する実証試験に用いられています。

今回の実証試験は、三菱重工が関西電力株式会社と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process(TM)」の本格的な導入に向けた、ゲント製鉄所でのCO2回収実証試験の適用範囲を拡大するものでもあります。

持続可能な未来への貢献



アルセロール・ミタルは、2030年までに同社欧州拠点から排出されるCO2量を35%削減するという目標を掲げています。今回の実証試験は、同社の脱炭素化目標達成に向けた重要な取り組みの一つとなります。

ディ・カーボンCEOのGill Scheltjens氏は、「この革新的なCCU実証試験で、アルセロール・ミタルおよび三菱重工と提携できることを大変嬉しく思います。鉄鋼生産の電化は難題ですが、排出CO2をCOに還元させる当社の技術はコスト効率と拡張性に優れたソリューションを提供します。」と述べています。

三菱重工GXセグメントCCUS担当セグメント長代理の長安立人氏は、「CCUSは製鉄分野における既存設備の脱炭素化に重要な役割を果たします。このたびのアルセロール・ミタルとディ・カーボンとの協働による、CO2を回収し、貴重な原料に変換し、再びプロセスに還元する一連の取り組みは産業分野におけるCO2排出量削減の新たな一手となります。我々は環境に優しい未来のために、持続可能な取り組みと革新的な解決策を提供していきます。」と述べています。

世界に貢献する技術



この実証試験は、鉄鋼生産におけるCO2排出量削減に大きく貢献するだけでなく、世界中の製鉄業界における脱炭素化に向けた取り組みを加速させるものと期待されます。

関連情報



アルセロール・ミタル:https://corporate.arcelormittal.com/
ディ・カーボン:https://d-crbn.com/
* 三菱重工:www.mhi.com/jp


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