気候関連開示の国際基準策定における進捗状況:金融安定理事会報告書が示す現状と課題

気候関連開示の国際基準策定における進捗状況:金融安定理事会報告書が示す現状と課題



2024年11月、金融安定理事会(FSB)は気候関連開示に関する進捗報告書を公表しました。この報告書は、国際的に整合性があり、意思決定に役立つ気候関連の財務情報開示基準の策定と適用に向けた取り組みの現状を詳細に分析しています。

報告書の主要なポイント



報告書によると、2021年以降、気候関連財務情報開示基準の設定、各国の適用検討、そして国際的な保証・倫理基準の作成において、目覚ましい進展が見られました。特に、FSB加盟国の多くが、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるIFRSサステナビリティ開示基準、または気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った規制、ガイドライン、あるいは戦略ロードマップを策定していることが報告されています。これは、国際的な枠組みによる企業の気候関連情報開示が着実に進んでいることを示唆しています。

しかしながら、報告書では課題についても言及されています。すべての国が同じペースで進んでいるわけではなく、基準の解釈や適用におけるばらつき、中小企業への影響など、解決すべき課題が依然として残されています。

IFRSサステナビリティ開示基準とTCFD提言



報告書で繰り返し言及されているIFRSサステナビリティ開示基準とTCFD提言は、気候関連情報開示において重要な役割を果たしています。IFRSサステナビリティ開示基準は、企業が気候変動リスクと機会に関する情報を、より一貫性のある方法で開示することを目指しています。一方、TCFD提言は、企業が気候関連リスクと機会を戦略、ガバナンス、リスク管理、指標と目標という4つの枠組みで開示することを推奨しています。これらの基準や提言への各国政府による対応状況が、報告書の中で詳細に分析されています。

日本の状況



日本は、FSBの取り組みを積極的に支持しており、ISSB基準やTCFD提言を踏まえた国内規制の整備を進めています。金融庁は、企業の気候関連情報開示の促進に注力しており、今後、さらに詳細なガイドラインや規制の策定が期待されます。

今後の展望



FSBの報告書は、国際的な気候関連情報開示の進捗状況を把握する上で非常に重要な情報源となっています。しかし、課題も残されていることから、今後の国際的な協調と、各国政府による積極的な取り組みが不可欠です。特に、中小企業への支援、基準の解釈と適用の一貫性、データの質の向上など、具体的な対策が求められます。

気候変動は、世界的な課題であり、企業の気候関連情報開示は、投資家やステークホルダーにとって重要な情報となります。FSBの報告書は、この分野における透明性と信頼性を高めるための重要な一歩と言えるでしょう。今後、国際的な連携を強化し、より効果的な気候関連情報開示の仕組みを構築していくことが重要です。

関連情報



金融安定理事会(FSB)ウェブサイト
国際会計基準(IFRS)財団ウェブサイト
* 金融庁ウェブサイト

トピックス(経済)

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