自然の美を捉えた珠玉の作品
2025年5月20日、株式会社大月書店から水中写真家・中村征夫氏による新しい写真集『裏磐梯 五色沼湖沼群―日本の湖水地方』が発売されます。この写真集は、福島県にある五色沼湖沼群の美しい水中景観を中心に展開され、一般にはアクセスできない特別な場所の神秘に迫る一冊となっています。
五色沼は、1888年に起きた磐梯山の水蒸気噴火によって形成された自然の奇跡です。公園内には毘沙門沼、赤沼、深泥沼など、様々な色彩を持つ湖沼が点在し、その中でも特に重要な自然環境として「特別保護地区」に指定されています。このため、一般の人々が自由に立ち入ることはできず、水中撮影も環境省の特別な許可を受けなければ行えません。
中村征夫氏は、その希少な許可を得た数少ない写真家の一人として、長年にわたり五色沼の四季折々の美しい風景を追いかけてきました。水の底から差し込む光、青い湖水に映る樹々のシルエット、そして季節の変化に伴う湖底の表情—これらを通じて、通常では視界に入らない水中の美しさを見事に捉えています。
本書に収録される写真は、水中撮影の作品を中心に、湖面からの景色や季節の移り変わりをとらえた地上からのショットも含まれています。これにより、読者は中村氏の独特の視点と技術を通じて、五色沼湖沼群が持つ神秘的な美しさを楽しむことができます。また、巻頭には福島大学の高貝慶隆教授による解説があり、五色沼の成り立ちとその美しさの秘密が科学的視点から明らかにされます。
現代において自然保護の重要性が叫ばれる中、この写真集は厳重に保護された特別な自然の姿を記録しており、環境保全の意義を考えるための貴重な資料となることでしょう。読者はこの美しい自然との共生について再考する良い機会に恵まれるはずです。
そして、本書の発売を記念して、2025年5月8日から19日まで写真展が開催されます。会場はOM SYSTEM GALLERY(旧オリンパスギャラリー東京)で、入場は無料です。特に5月10日、11日、17日、18日にはギャラリートークも予定されており、各回約30分のディスカッションが行われます。中村氏の貴重な体験や作品に込められた思いを直接聞くことができる機会ですので、是非訪れてみてください。
著者プロフィール
中村征夫氏は1945年に秋田県潟上市で誕生し、19歳から独学で水中写真を始めました。撮影プロダクションを経て31歳でフリーランスとなりました。海の魅力を伝える数々のメディアで活躍し、多くの著書を持つ著名な水中写真家として知られています。彼全生活をかけて捉えた海中の姿は、見る者に強い感動を与えています。
書籍情報
- - 書名:『裏磐梯 五色沼湖沼群―日本の湖水地方』
- - 著者: 中村征夫
- - 発売日: 2025年5月20日
- - 判型: 変型判(238×240ミリ)・ハードカバー
- - ページ数: 120ページ(オールカラー)
- - 定価: 6,300円(税別)
- - ISBN: 978-4-272-62029-6
美しい自然の保護と理解を深めるための本書を、ぜひ手に取ってみてください。