エイブリック、文部科学大臣賞受賞
ミネベアミツミグループに属するエイブリック株式会社が、令和6年度の関東地方発明表彰において、最高栄誉の文部科学大臣賞を受賞しました。受賞の背景には、特許第5337523号に基づく半導体集積回路装置があり、特に医療分野での利用が期待されています。発明の筆頭者である同社執行役員の花沢聡氏が表彰式で受賞を報告し、技術の重要性について語りました。
特許技術の概要
エイブリックが受賞した特許は、超音波診断装置で重要な役割を果たす送信回路に関するものです。この技術は、診断画像の質を向上させ、同時にコストを削減することを目的としています。超音波診断装置は、患者の身体内部に超音波を発信し、反響波を受信して画像化する装置ですが、その性能は送信と受信の回路技術によって大きく左右されます。
従来の技術では、送信波形の品質がノイズや寄生容量からの影響を受けやすく、理想的な波形を生成することが難しいという課題がありました。しかし、今回の技術革新により、エイブリックはノイズ耐性を高める新たな送信回路構成を実現しました。この成果は、より高品質な送信波形を生成するための道を開き、同時に必要なデバイス数を減少させ、コスト削減にも寄与するものです。
医療分野への貢献
花沢聡氏は、賞を受賞したことについて「この発明が超音波診断装置の性能向上に貢献し、業界における重要な技術の一つになることを確信しています」と語り、今後も高品質な製品の開発に取り組む姿勢を示しました。
超音波診断装置向けのIC技術はABLICの中心的な製品群であり、その先進性は特に注目されています。また、ABLICは最近、メディカル関連事業を手がける株式会社ソシオネクストの技術を取得しました。この事業は受信ICに強みを持ち、今後は送信と受信の両面の技術を融合させることでさらなる市場拡大を目指していくとしています。
今後の展望
エイブリックは、医療分野におけるICの進化を通じて、より高性能で高品質な超音波診断装置の提供を進めていく考えです。技術革新を続けることにより、医療現場での実用化に貢献し、人々の健康と安全に寄与することが期待されています。エイブリックの今後の動きに引き続き注目が集まります。