物流ノウハウとDXで建設現場の効率化を実現
近年、建設業界における作業効率の向上は急務です。SGホールディングスグループの佐川急便株式会社とSGシステム株式会社は、新菱冷熱工業と連携し、建設現場での資材管理効率化に向けた新しい業務システムを開発しました。このシステムは、新菱冷熱工業でのトライアルを経て実装されています。
システムの目的と背景
2024年4月から建設業界にも時間外労働の上限規制が適用され、労働力不足の問題が深刻化しています。新菱冷熱工業は、BIM(Building Information Modeling)の導入を進めてきましたが、依然として資材管理において多くのアナログ作業が残っています。
このため、建設現場での資材管理をデジタル化する必要があると認識し、これまでのノウハウをもとに包括的な解決策を提供することが求められました。そこで、門前倉庫と資材管理システムを中核にしたソリューションが新菱冷熱工業に選ばれたのです。
新菱冷熱工業の取り組み
1. 門前倉庫の設置
新菱冷熱工業は現場近くに門前倉庫を設置し、資材を一時保管。その後、必要に応じてユニット化し、ジャストインタイム(JIT)方式で搬送する体制を整えました。これにより、現場内での仮置きや仕分け作業を削減し、労務負担の軽減と施工効率の向上につながっています。
2. 資材管理システムの開発
建設現場では、各サプライヤーからの納入資材が統一されておらず、従来のハンディターミナルでは検品が難しいという課題がありました。そこで、新たな資材管理システムが開発され、これにより新菱冷熱工業が推進するBIMデータとの連携が可能となり、資材の調達・検収・施工計画が一体的に管理できるようになりました。
システムの特徴
特徴1: ラベルデータの統一化
エッジAIを活用して、日本語や英数字、記号を含むラベルやケースに書かれたデータを読み取ります。この情報に基づいて、設置場所や出荷予定日を紐づけ、統一ラベルを発行し資材に貼付します。
特徴2: 必要な資材の効率的な仕分け
作業の進捗に合わせて、必要な時に、必要な量だけ資材を輸送する仕組みを整備しました。これにより、現場での仕分け作業や納品日の調整といった煩雑な作業が省かれました。
特徴3: ステータスの一元管理
発注から倉庫・現場への入出荷、在庫管理までを一気通貫で管理できるシステムを構築しました。これにより、現場管理者も同じ情報を参照できるため、施工進捗に応じた資材の動きの調整が容易になります。
これからの展望
佐川急便とSGシステムは、建設現場のみならず多様な業種や業態へも本システムの展開を検討し、事業の加速に努めていく方針です。今後も、お客様のニーズに応えるサービスの開発を通じて社会に貢献してまいります。