カギケノリの初収穫
千葉県いすみ市で、株式会社アルヌールが新たな養殖試みに挑戦し、カギケノリの初収穫を迎えました。このプロジェクトは、持続可能な養殖方法を模索する中で実現したもので、A'Culture株式会社との業務提携に基づいて進行しています。
陸上養殖の新たな試み
これまで、アルヌールは東京都豊島区のR&Dセンターでカギケノリの研究を行ってきましたが、2019年にはA'Cultureとの提携を結び、いすみ市の特設施設にてトン規模での陸上養殖実験に着手しました。プロジェクトの開始以来、アルヌールの持つカギケノリの特性に関する知見と、A'Cultureが培ってきた養殖技術を結集することで、信頼性の高い屋外養殖プロトコルを確立しました。特に夏場の高温でもカギケノリが安定して育成できる環境が整備され、これまでの成果が実を結びました。
環境への配慮と技術革新
このプロジェクトから収穫されたカギケノリは、ほかの植物と同様に二酸化炭素を吸収し、海中の生態系の維持にも寄与します。今後アルヌールはさらにスケールアップを進め、養殖システムの最適化に挑む予定です。また、カギケノリを基にした新しい飼料開発も進めており、これは温室効果ガスの一種であるメタンガスの削減に役立つとされています。
バイオスティミュラントの導入
アルヌールでは、カギケノリの生産量を向上させるためにバイオスティミュラントを使用した試験も開始しています。これにより生育速度や生育量を向上させ、より効率的に養殖を進めることが可能になります。藻類の持つ機能性成分の増加にも期待が寄せられています。
持続可能な未来に向けた取り組み
「カギノワ」というプロジェクト名のもと、アルヌールは畜産業の脱炭素化や海洋生態系の回復を目指しています。カギケノリを使った飼料を開発することで、反芻家畜からのメタンガスの排出を大幅に減少させることが期待されています。また、このプロジェクトには多くの企業や自治体、研究者が参加しており、海洋国家である日本における持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められています。
A'Cultureについて
A'Culture株式会社は千葉県いすみ市に拠点を持ち、国産アワビの養殖に対する新たなアプローチを模索しています。この会社も、海洋生態系を維持しながら持続可能な水産資源の確保に貢献しています。彼らの取り組みは、アワビの陸上養殖だけでなく、他の水産資源の育成にも及んでいます。
アルヌールの未来
アルヌールの本社は東京都渋谷区にあり、微細藻類の研究・開発を行っています。彼らの技術は、環境保全と新たな産業の創出を目指しており、今後の展開にも注目が集まっています。