STマイクロエレクトロニクスが小型化・コスト削減を実現する65W GaNコンバータを発表
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM)は、最新の省空間電源技術を駆使した新製品、「VIPerGaN65D」を発表しました。このコンバータは最大65Wの出力を可能にし、電子機器に最適な電源や電源アダプタ、さらにはUSB-PD(Power Delivery)急速充電器に利用できる製品です。具体的には、SOIC16パッケージで提供され、世界中の電圧規格に対応しています。
この新しいフライバック・コンバータには700VのGaN(窒化ガリウム)トランジスタと、最適化されたゲートドライバが集積されており、効率的な電力供給を実現します。また、ファミリーの他の製品はDFNパッケージで提供されるのに対し、このVIPerGaN65Dは従来のSO16nパッケージでの提供が特長です。
GaNトランジスタは最大240kHzの周波数での動作が可能で、スイッチング損失を抑えることができるため、全体的なコストも削減されます。特に、フライバック・トランスを用いることで、受動部品や回路基板の小型化を実現しました。
さらに、VIPerGaN65Dはゼロ電圧スイッチング技術を採用しており、電圧が変化しても高い効率を保つ能力があります。ダイナミックにブランキング時間を調整することで、さまざまな電源ラインや負荷条件に適応できるため、全体的な効率を最大化します。また、フィードフォワード補正技術を使って、電圧の変動も最小限に抑えています。
このコンバータの特徴として、最大65Wの出力が可能で、デザインによっては185Vから265Vまでの入力範囲で85Wまで供給できる点が挙げられます。待機時の消費電力も30mW未満に抑えられており、国際的なエネルギー効率基準を満たしています。これにより、急速充電器や電源アダプタ、家庭用電気機器への応用が大いに期待されています。
実際、この製品は洗濯機や食洗器、コーヒーメーカー、テレビ、デジタルカメラ、さらにはコードレスシェーバーなど、多彩な製品に使用可能です。もちろんデスクトップパソコンやサーバー、さらには照明やエアコンなど、より大きな電力を必要とする機器にも対応しています。
さらに、コスト削減だけではなく、VIPerGaN65Dはシステム保護機能も充実しています。過電流保護や出力過電圧保護、各種保護機能が自動復帰するため、安全に使用できる環境を整えています。また、内蔵のEMI抑制機能も優れています。
リファレンス設計の「EVLVIPGAN65DF」は、VIPerGaN65Dを用いた電源開発の時間短縮を可能にし、93%以上のピーク効率をもたらします。これにより、完全に保護された24V、65Wの電源を提供します。現在、VIPerGaN65Dは量産中で、単価は約1.16ドルとなっています。
STマイクロエレクトロニクスは、半導体業界において約50,000名の従業員を擁し、グローバルに展開する企業です。彼らは、サプライチェーンと製造設備を駆使して、顧客のビジネスの創出や持続可能な社会の実現に貢献する半導体ソリューションを提供し続けています。STのテクノロジーは、スマートなモビリティの実現や持続可能な電力管理を促進し、2027年までに再生可能エネルギーの使用率を100%にする目標を掲げています。
詳細については、STマイクロエレクトロニクスの公式ウェブサイトをチェックしてください。