日本の機関投資家、ESG投資での対話を深化させる

機関投資家、ESG投資におけるエンゲージメントが進化

2024年12月26日、株式会社QUICKのESG研究所は、日本国内の機関投資家を対象とした「ESG投資実態調査2024」の結果を公表しました。この調査は、機関投資家が行う「エンゲージメント（企業との建設的な対話）」をテーマにしたもので、2024年は特に人材育成や多様性への関心が高まっていることが明らかになりました。

エンゲージメントの実施状況

調査によると、機関投資家の80％が、「エンゲージメント」を実施していると回答しました。特に「ESGインテグレーション」という手法が91％にまで上昇し、2年連続で首位を確保しました。さらに、企業とのコミュニケーションが着実に進んでいることも示されています。すべての投資先企業との対話を行ったとする回答は32％に増加しましたが、対話が実施できなかった企業が51％いることも示されたため、さらなる改善が求められています。

エンゲージメントの主要テーマ

エンゲージメントで重視されるテーマは、「人的資本」と「取締役会の構成」で、それぞれ63％と56％の支持を得ました。特に、人的資本は人材育成や確保に関連しており、企業の持続可能性や競争力に直結する重要な要素として位置づけられています。また、「生物多様性」に関する意識も高まり、49％からの支持を集めました。この流れは、投資判断においてもいかに企業の社会的責任が重要視されているかを物語っています。

定量化するESG情報の重要性

最近では、企業がESG活動の効果を定量化する「インパクト加重会計」などの手法を取り入れる例が増えています。この取り組みについて、調査では39％が「評価している」とし、6割以上が肯定的な反応を示しました。しかし一方で、63％は「ESG評価手法を導入する予定はない」と回答しており、分析ロジックがまだ確立されていないとの意見も多かったです。

調査の背景

「ESG投資実態調査」は2019年から続いている年度ごとの調査で、機関投資家がどのように環境・社会・ガバナンス情報に基づいて企業を評価しているかを探るものです。2024年の調査では267の機関投資家を対象に実施され、67の回答を得ました。これにより、投資界におけるESGの重要性が再確認され、より多くの企業がこの流れに応じた対応を迫られるでしょう。

この調査結果を受けて、企業のみならず、投資家にとってもESGに関する意識が一段と高まることが期待されます。機関投資家との建設的な対話を進めることは、企業の成長にも寄与する重要なポイントです。