アレルギー性鼻炎と花粉症の実態調査から見えた課題
アレルギー性鼻炎と花粉症の実態調査から見えた課題
近年、鼻アレルギーに関する関心が高まっていますが、実際の患者の意識や医療機関に対するアプローチはどうなっているのでしょうか。ある調査では、通年性アレルギー性鼻炎や花粉症を抱える人々の実態が明らかになりました。
調査結果から見る実情
この調査に参加した人々のうち、通年性アレルギー性鼻炎を患っている人は約64.6%が10年以上も症状に悩まされています。一方、花粉症については51.9%が同様に長期にわたる症状を抱えています。これらの症状に対して最も多くの人が感じている不満は「完治しないこと」です。通年性アレルギー性鼻炎では47.3%、花粉症では41.0%がこの不満を訴えています。
また、医療機関への定期受診率は非常に低く、通年性アレルギー性鼻炎では8.1%、花粉症では16.0%にとどまっていることが印象的でした。多くの患者は「体質だから仕方ない」と考えて医療機関へ行かない実情や、市販薬で対応できるからと理由付けしています。
小児患者の保護者に関する調査
小児患者の保護者に対する調査でも同様の結果が見られます。通年性アレルギー性鼻炎を患う子どもを持つ親のうち、53.8%が3年以上も症状に苦しんでおり、花粉症の子どもも同様の数字を示しています。ほとんどの保護者が「完治しない」という不満を持ち、また、原因となる抗原を知らない保護者が51.1%もいるという現状は驚くべきものです。
さらに、舌下免疫療法の治療意向がある保護者は通年性アレルギー性鼻炎で45.0%、花粉症で48.4%と、実践に興味があるものの、知識不足や受診のハードルが根本的な課題となっています。
知識の重要性とアレルギーマーチ
アレルギーに関する正しい知識の普及も急務です。特に「アレルギーマーチ」という言葉を知っている保護者は30%弱に過ぎず、これが幼少期のアレルギー疾患進行の原因にもなっています。アレルギー早期発見と正しいアプローチが重要とされる中で、適切な教育が求められています。
専門家の見解
日本医科大学の教授、大久保公裕氏は、「通年性鼻炎やスギ花粉症は全国民の4人に1人が陽性であり、医療機関へのアプローチ不足が課題」と述べています。彼は、まずは原因の特定が重要であり、そのためには血液検査や皮膚反応テストが有効です。そして、新しい治療法である舌下免疫療法は、薬物療法とは異なり根本的な治癒が期待できると強調しています。
結論
アレルギー疾患対策の基本法が施行され、地域での取り組みが進められる中で、今後はより多くの人々が正確な情報を得られることが求められています。医療者と患者、双方が適切に情報を共有し、健康的な未来を目指していくことが必要です。
会社情報
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