RPA導入事例:医療業界の新たな挑戦
医療界での業務効率化が進む中、医療法人社団高輪会が最近のオンライン講演で紹介したRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入の成功事例が注目されています。この取り組みは、年間で2,260時間もの業務を削減できたという成果を伴うものです。このレポートでは、RPA導入の背景や具体的な実施内容、今後の展望について詳しくご紹介します。
RPAとは何か?
RPAは、業務の自動化を図るための技術であり、主に人間がパソコンで行っている操作をロボットが記憶し、代わりに実行する仕組みです。新型コロナウイルスの影響で求められる効率化が進む中、高輪会はRPAを活用し、業務面での効果を実証してきました。特に、感染拡大以前からの導入で構築された基盤が、現在の状況に大いに寄与しています。
高輪会がRPA導入を決めた理由
高輪会は、毎月6万件以上のカルテデータをレセプトコンピュータに手動で入力する業務を抱えており、これには月に15,000時間もの時間がかかっていました。この膨大な作業を短縮し、コスト削減を図るためにRPAの導入を決定しました。
導入過程と検証テスト
導入に際して高輪会は、リモートデスクトップを通じた入力の正確性を確保するための検証を行いました。その結果、手動で行っていた入力作業が完全に自動化でき、従来の作業時間を大幅に削減することができると確認しました。
Blue Prismを選んだ理由
高輪会が選んだRPAツールはBlue Prismです。理由は、高いセキュリティ機能に加え、複数PCの集中管理が可能で、将来的なスケールアップも視野に入れています。特に医療情報を取り扱うため、情報漏洩のリスクを最小限に抑える必要があります。
RPA導入のプロセス
高輪会では、導入を円滑に進めるため、以下のステップを実施しました:
1.
目標スケジュールの設定
明確なプロジェクト計画を立て、計画的に進めました。
2.
専任担当者の設置
IT未経験者を採用し、RPA推進のノウハウ習得に努めました。この担当者は現状299名のうちの1名ですが、既に社内研修も行えるレベルに成長しました。
3.
経営層との連携
経営陣への説明を行い、理解を深め、社内のRPA推進に向けた受け入れ体制を構築しました。
効果と今後の課題
RPA導入からわずか9か月で4つの業務が自動化され、年間で2,260時間の削減効果を実現しました。今後、さらなるRPA導入を推進し、医療業界全体のIT化の加速を図る予定です。医療業界が抱える紙文化の壁を乗り越え、RPAが普及することで、より多くの利用者が利益を享受できることが期待されています。
まとめ
医療法人社団高輪会のRPA導入事例は、効率化への第一歩を示すものです。組織全体が巻き込まれたこのプロジェクトの成功は、多くの医療機関にとっての励みとなるでしょう。今後の医療業界におけるデジタルトランスフォーメーションに大いに期待が寄せられています。
法人概要
- - 名称:医療法人社団高輪会
- - 所在地:東京都港区高輪3-25-33
- - 設立:1979年11月
- - 診療内容:歯科治療、口腔ケアなど
- - URL:高輪会公式サイト