高齢者の運転意識とモビリティの未来を探る調査結果
2025年の近未来に向けて、シニアが抱える移動に関する意識や課題について北海道から沖縄まで577名の女性を対象に行った調査から、多くの興味深い結果が得られました。
外出先への移動手段、地域差が顕著
調査によると、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の一都三県では、普段の外出において徒歩やバス、鉄道が主な移動手段として利用されています。しかし、首都圏を離れると自動車の利用が大きく増加し、地方では特に自動車が欠かせない存在となっています。この地域差は、シニアの移動手段に対する考え方やライフスタイルにも影響を及ぼしているようです。
70代以上においても、自動車を運転する割合は依然として50~60代よりも低い傾向が見られ、代わりにバスの利用が増えていることが分かりました。日常的に自動車を運転している層では、公共交通機関の利用が少なくなり、徒歩での移動も減ることが見受けられます。これは、自動車運転が彼女たちにとって生活に密着した習慣であることを示しています。
運転免許の返納に対する心理
多くの場合、自ら運転することが日常の一部となっている高齢者たちは、運転免許の返納を考えながらも、その時期を具体的には決めていない傾向があります。「いずれは返納するつもり」と考えていても、実際にはそれを実現に移せない状況がサーベイから浮かび上がりました。事故リスクや身体の衰えを認識しながらも、運転を続ける理由には運転が生活の一部となっていることがあります。
調査の結果、自主返納に対して前向きな意見が多いのは、すでに免許を返納した人や持っていない人たちであった一方、現役で運転を続ける層ではその割合は低かったのが印象的でした。特に「運転を続けると生活の質が確保される」との意識が強いことが分かりました。一方、運転を止めると引きこもりが進み、認知症のリスクが高まることへの不安の声も多く聞かれました。
安全装置の義務化に関する認知
2025年から始まる安全運転装置の搭載義務化については、その内容を知らない人が6割以上に達し、その一方で約9割が興味を示しました。この施策によって運転免許の返納時期が変わるかどうかに関しては、約7割は現状維持、約3割が延ばす可能性があるとの回答を得ました。高齢者がこの変化にどう適応するかが鍵となりそうです。
自動運転技術への期待と不安
調査では、自動運転に対する関心も浮かび上がりました。AIによる自動運転に対しては利用したいとの意向が約24%、一方で利用したくないとの声も34%と見られ、期待と不安が入り混じっています。「もっと進歩して安全になれば」との条件付きで期待する声が多く見られ、安全性への信頼が高まることが課題となりそうです。
自動運転に対する自由回答には、「高齢者の運転ミスを防げる」「自分の判断力が衰えるのが怖い」などの意見が寄せられ、これからのモビリティの未来へ思いを馳せる結果となりました。
まとめ
ハルメク生き方上手研究所の調査からは、高齢者たちは運転を生活の一部としてとらえ、その自立性を保つための新たな選択肢を求めていることが伺えます。これからのモビリティ社会においては、安全で安定した移動手段が確保されることが、彼女たちの生活の質を高める上で重要であり、その施策は彼女たちの価値観や意向に寄り添うものであるべきでしょう。今後、今世代がより安心して移動できる未来が切り拓かれることを期待したいと思います。