「退屈」をテーマにした新しい哲学対話
2025年8月24日、福井市で開催された「ざわザワ高校 ~海の未来をつなぐ哲学~」の第5回授業が、多くの注目を集めました。今回の授業では、「退屈」をテーマに哲学的な対話が行われ、初めての試みとしてその様子がYouTubeで生配信されました。
このイベントは、一般社団法人福井環境研究開発が主催。ジャーナリストの堀潤氏と哲学者の岩内章太郎氏が、参加者である高校生たちと共に「退屈」を掘り下げていきました。視聴者からのリアルタイムでのフィードバックも受けつつ、オンラインでも多様な意見が集まる新しい形の対話が展開されました。
授業の内容を振り返る
授業の初めに、高校生たちは自らの経験をもとに「退屈」を共有しました。ホワイトボードには、「卒業式の練習」や「アトラクションの待ち時間」、時には「やりたくないことをしている時」といった具体的なエピソードが並びました。これらは誰もが共感できる瞬間であり、参加者の心の奥に迫るきっかけとなりました。
さらに、生配信中には視聴者からも集まった「退屈エピソード」が紹介され、コロナ禍での自宅待機や自然の中で過ごすユニークなエピソードが寄せられました。このようにして「退屈」の多様性が織り交ざることで、対話の基盤がしっかりと築かれていったのです。
「退屈」の可能性を考える
授業の後半では、高校生たちが「退屈」の本質について深く考察しました。この時、視聴者から寄せられた意見が議論をさらに深める役割を果たしました。「退屈は新しいことを始めるための準備期間」といったポジティブな発言もあり、ネガティブに感じられる「退屈」が実は有意義な時間であることが見えてきました。
生徒たちは、「退屈」をただ避けるべきものではなく、新たな挑戦のためのエネルギー源として捉えるようになりました。双方向性を持った生配信は、視野を広げるきっかけとなり、深い議論を生む効果を発揮したのです。
終了後のフィールドワーク
授業の終わりには、越廼海岸でのフィールドワークが予定されています。ここでは、自然の中でどのように「退屈」を乗り越え、そこから得られる「海の可能性」を引き出している人々のストーリーを取材します。この模様は11月29日に放送される予定です。
参加者の反応
学級委員長の堀潤さんは、「高校生の言葉と視聴者の声が交差することで、テーマの深さが明らかになった」と振り返ります。また、岩内章太郎さんも「退屈のネガティブなイメージが、様々な視点を通じてポジティブな側面へと変わった」と興奮気味に語りました。
参加した高校生たちも、「今まで退屈な時間を無駄だと思っていたが、新たな視点を得て前向きに捉えることができそう」と感想を述べています。視聴者との共同作業ができたことで、より豊かで多層的な対話が生まれました。
次のステップへ
「ざわザワ高校」での哲学対話は、海や地域の未来に目を向けることで新たな可能性を探る試みです。一見ネガティブな感情から出発した対話が、地域や海の未来に新しい光を当てています。今後も生徒たちは、さまざまな人々との交流を通じて海の可能性を探求していくことでしょう。
団体概要
一般社団法人福井環境研究開発は、福井県の美しい海を次世代に引き継ぐための活動を行っています。海に親しむ心を育むことを目的に、さまざまなプログラムを展開しています。詳細は
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また、日本財団の「海と日本プロジェクト」は、子どもから大人までが海の現状を自分の問題として捉え、未来に向けた行動を促す取り組みを進めています。詳細は
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