コケ植物の性染色体進化
2025-04-07 15:48:22
コケ植物の性染色体進化を解明―雌雄異株から同株への移行の謎―
コケ植物の性染色体進化を解明
京都大学生命科学研究科の安居佑季子准教授を中心とする研究グループは、コケ植物の進化に関する新たな知見を発表しました。具体的には、雌雄異株から雌雄同株への進化過程における性染色体の変遷について探究が行われ、興味深い結果が得られました。
研究背景
有性生殖は生物にとって重要な繁殖方法ですが、その性決定メカニズムは非常に多様です。一部の生物は性染色体を持ち、別々の個体としてメスとオスが存在します。一方で、同一個体に雌雄両方の生殖能力を有する雌雄同株の生物もいます。これまでの研究では、雌雄異株から雌雄同株へ進化する際の性染色体の運命が明らかにされていませんでした。
研究手法
本研究では、雌雄同株であるアカゼニゴケのゲノムを解読するために、ロングリードシーケンス技術を用いました。アカゼニゴケは、特に北岳で採取されたKitadake-1株を使用して研究が進められました。結果として、アカゼニゴケは9本の染色体を持ち、うち1本が雌雄同株の性染色体に由来していることが発見されました。
研究成果
アカゼニゴケのゲノム解析から、雌の性染色体が失われ、必須の遺伝子が他の染色体へ移行したことが分かりました。これにより、雌雄同株への移行は偶然ではなく、運命的なプロセスである可能性が示唆されます。また、性決定遺伝子BPCUがアカゼニゴケの生殖器において雌で高く発現し、雄ではほとんど発現しないことも確認されました。
意義と今後の展望
この発見は、コケ植物の進化の理解を深めるだけでなく、生物多様性の原理解明に貢献するものです。今後は、他のコケ植物や異なる系統においても同様の研究が行われることで、有性生殖システムの転換に伴う性染色体の進化がさらに明らかになることが期待されています。
研究者のコメント
研究を行った安居准教授は、「雌雄同株コケ植物が、如何にして雌雄異株の性決定遺伝子を流用しているのかに驚きました。性染色体の進化は偶然によるものではないと考え、研究を続けてきました。」とコメントしています。
研究の重要性
この研究は、信頼性の高いゲノム解読を通じて進化のメカニズムを明らかにし、今後の研究に向けて設定された基礎が築かれました。また、研究に関与した全ての研究機関に感謝し、今後の進展を期待します。
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学校法人近畿大学
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