遺伝性血管性浮腫(HAE)早期発見に向けたAIモデルの成功事例
京都大学医学部附属病院と日本アイ・ビー・エム株式会社、そして一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)が共同で進めた、HAE患者予測AIモデルに関する研究が注目を集めています。この研究は、京大病院が保有する電子カルテデータを利用し、国内でのモデルの有用性を検証することに焦点を当てています。
共同研究の背景
DISCOVERYは、2021年2月に発足し、HAEと診断されずに苦しむ患者を救うため、医療従事者や患者団体、製薬企業が連携しています。彼らは、HAE患者の早期診断と診断率の向上を目指し、医療データのAI分析に取り組んでいます。特に、よりデータ量が豊富な米国の電子カルテやレセプトデータを基に、HAE患者予測AIモデルを構築してきました。
国内での検証
国内医療機関への実用化を視野に入れる中、京大病院が拥有する電子カルテデータを使って、の検証作業を行いました。具体的には、DISCOVERYと日本IBMが共同開発したHAE患者予測AIモデルを電子カルテデータに適用し、その結果の予測精度や、HAEリスクが高いとされた患者のトレンドを評価しました。
結果として、HAEの可能性が高い患者群の中では、約5人に1人が既にHAEの確定診断または疑いの記録があり、このモデルは有効であると証明されました。これにより、HAEの診断記録がない患者にも、本モデルが早期診断に貢献できる期待が膨らみます。
研究責任者のコメント
研究の責任者である京大病院血液内科の山下浩平准教授は、「このHAE患者予測AIモデルは、海外レンチで構築されたもので、国内の電子カルテへの適用が懸念されていたが、今回の研究によってその有用性が確認された。HAEを疑うべき潜在的患者を見出す手助けとなるだろう」と述べています。このように、HAE患者予測AIモデルは、科学の進歩と共に医療の現場での新たな可能性を提示しています。
まとめ
HAEは非常に希少な疾患であり、これまでは診断が難しい位置にありました。しかし、京都大学と日本IBMの取り組みによって、AIを用いた新たな診断支援が実現しつつあります。今後、より多くの医療機関での実証と普及が進めば、HAEの早期発見につながり、多くの患者の生活の質向上に貢献できることでしょう。