オンセミとイノサイエンスが手を組みGaNパワーデバイスの生産拡大を目指す
オンセミとイノサイエンス、GaNパワーデバイスの新たな提携
近年、エネルギー効率が求められる中で、半導体業界は画期的な変革を遂げています。そんな中、米国のオンセミ(ONセミコンダクター)と、中国のイノサイエンス(Innoscience)との間で、窒化ガリウム(GaN)技術を活用したパワーデバイスの生産拡大に向けた提携計画が発表されました。この協業は、両社の知識とリーダーシップを結集し、市場に対して革新的なソリューションを提供することを目指しています。
提携の背景と目的
オンセミは、装置の統合、ドライバ、パッケージング技術において豊富な経験を持っています。一方、イノサイエンスは、200mm GaN-on-Siプロセスにおいて確かな実績を誇り、ウェハの大量生産において業界をリードしています。これらの専門知識を融合させることで、費用対効果の高い省エネルギーソリューションの迅速な市場提供を目指します。
この提携に基づく覚書(MOU)は、事業戦略の一環であり、ウェハ調達や拡張的な協力関係を確立します。また、今後の成長予測として、GaNパワーデバイスの市場規模が2030年までに29億ドルに達する見込みが立てられています。この成長は、両社が共に追求するものとなるでしょう。
具体的な展開イメージ
両社の協力により、オンセミは低電圧から中電圧にかけてのGaNパワーポートフォリオを拡大します。それによって、産業、自動車、通信インフラといった様々な市場に向けて、より小型で高効率なソリューションを提供できるようになります。これにより、GaNの採用率も飛躍的に向上することが期待されます。
技術の融合がもたらすメリット
GaN半導体デバイスは、高速スイッチング能力、コンパクトさ、エネルギー損失の低減を特徴としています。これにより、従来のシリコンデバイスよりも高効率で小型化され、様々な用途に対応できる製品の開発が見込まれています。これまでの低・中電圧分野では、生産能力や製品ラインアップの制約から普及が進まなかったため、両社の提携によってこれらの障壁が克服されることが期待されています。
具体的には、ロボット用のモータードライブや電動工具、再生可能エネルギー分野など、さまざまなアプリケーションにおいて最適なGaNソリューションの展開が進むでしょう。これは、実際に産業界での効率を向上させ、持続可能なエネルギーシステムに寄与するものです。
将来の展望
オンセミのアントワーヌ・ジャラベール氏は、次のように語っています。「GaNはコストと供給面での課題を克服することで、主流市場における電力アプリケーションの拡大を促進します」。また、イノサイエンスのYi Sun氏も「このパートナーシップを通じて、さらに良い電力システムの提供を目指していきます」とコメントしています。
このパートナーシップによって、オンセミは2030年までに全世界でのGaNパワーデバイスの供給を大幅に拡大し、エネルギー効率の向上に貢献することを目指しています。そして、2026年の中頃には最初のサンプル提供を開始する予定だとしています。
結論
オンセミとイノサイエンスの提携によって、GaNパワーデバイスの市場は新たなフェーズに突入し、広範囲な産業において革新が期待されます。この協業は、より高効率な電力ソリューションを求める顧客のニーズに応えるものとなり、持続可能な社会の実現に寄与することでしょう。
会社情報
- 会社名
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オン・セミコンダクター株式会社
- 住所
- 東京都品川区大崎2-1-1ThinkParkTower 6階
- 電話番号
-
03-6880-1777