2024年9月のM&A市場動向
2024年9月の日本のM&A(企業の合併・買収)市場が、大きな注目を集めています。この月の取引件数は115件に達し、前年同月の77件を大きく上回り、過去10年間で最も多かったことが報告されています。さらに、取引金額は7538億円と前年同月比で2.27倍の増加を見せました。
この好調な数字は、特に外食・フードサービス業界での活動が活発なことを反映しています。すかいらーくホールディングスやクリエイトレストランホールディングス、コメダホールディングスなどの企業が続々と買収案件を発表しており、外食業界のM&Aは特に注目されています。
2024年1月から9月の累計動向
2024年の1月から9月までの累計では、M&A件数は889件となり、前年同期に比べて142件の増加を記録しました。これは16年ぶりに1000件を超えた前年を大幅に上回るペースです。海外企業が関与するクロスボーダーM&Aも好調で、1-9月の累計で167件に達し、特に日系企業による外国企業の買収(アウトバウンド)が活発化しています。
9月のM&Aトレンド
9月のM&A市場においては、外食・フードサービス業界の活動が特に活発です。同業界では、既に今年の累計案件数が23件に達し、昨年の合計である24件に迫っています。コロナ禍を経て業界が回復する中、大手企業が事業拡大を目指して積極的に買収を行っているため、今後のさらなる成長が期待されています。
9月の主な案件
1.
ヒューリック
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概要: 不動産開発のヒューリックがレーサムをTOBで子会社化
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取引金額: 約1735億円
ヒューリックは再生可能な価値を持つ不動産事業を強化し、異なる資産区分の会社を傘下に迎えることにより、事業の幅を広げています。
2.
ティーガイア
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概要: 米ベインキャピタルがティーガイアの株式をTOBで取得
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取引金額: 1392億円
住友商事の事業ポートフォリオ見直しから、ティーガイアが非公開化される動きが生まれました。
3.
トランコム
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概要: トランコムがベインキャピタルと組み、MBOを実施
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取引金額: 約909億円
2024年問題によるドライバー不足や人件費上昇を見越した戦略的選択が評価されています。
今後の展望
2024年のM&A市場は、外食業界での買収活動を筆頭に、企業の再編や新たなビジネスモデルの構築が進むことで、さらなる発展が見込まれています。このまま良好なトレンドが続けば、M&A件数と金額がさらなる記録を更新する可能性も十分にあります。M&A Onlineを通じて、今後の動向にも注目していきたいところです。