J.D. サリンジャーの幻の傑作集がついに登場
2025年12月23日、J.D. サリンジャーの貴重な作品集『彼女の思い出/逆さまの森』が新潮文庫から発売されます。この書籍には、サリンジャーが20代の頃に執筆した未収録の傑作9篇が収められており、文学ファンにとっては見逃せない一冊です。
作家J.D. サリンジャーは、1940年に短編「若者たち」でデビューし、1951年に発表した『キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)』で世界中の若者たちを虜にしました。しかし、その裏には、彼が戦争に従軍していた期間に創作した数多くの作品が存在しています。サリンジャーは1942年に陸軍に入隊し、1944年のノルマンディー上陸作戦にも参加していますが、その激動の時代に彼が生み出した物語は、彼の作家としての深い感受性を感じさせます。
この新しい作品集に収められたのは、以下の9篇です。
- - 彼女の思い出
- - ヴァリオニ兄弟
- - おれの軍曹
- - ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない
- - すぐに覚えます
- - ふたりの問題
- - 新兵に関する個人的な覚書
- - ブルー・メロディ
- - 逆さまの森
これらの作品は、本国では単行本に収録されることなく、長らくその存在が知られていませんでした。サリンジャーが描く人物たちは、感情豊かでありながらどこか影を背負っているようで、読者に深い印象を与えます。
特に『彼女の思い出』では、戦争の影響を受けた若者の心の葛藤が丁寧に描かれています。一方『逆さまの森』では、不思議な世界が広がり、サリンジャー特有の幻想的な雰囲気が楽しめます。これらの作品を通じて、サリンジャーの独自の文体や視点を再確認することができるでしょう。
この書籍の翻訳を手掛けたのは、岡山県出身の翻訳家・金原瑞人氏です。彼は法政大学名誉教授として、英文学の翻訳に情熱を注いできました。彼の訳文によって、サリンジャーの作品がより生き生きとした存在感を持つことでしょう。金原氏の他にも、彼の翻訳された作品は多岐にわたります。
サリンジャー自身は、1953年以降ニューハンプシャー州で隠遁生活を送り、文学界から姿を消しましたが、彼の作品は今でも多くの人々に愛されています。この新装版の登場は、過去の名作に再び光を当てる素晴らしい機会となります。
書籍の定価は750円(本体)で、ISBNは978-4-10-205706-3です。サリンジャーの作品をまだ読んだことがない方にも、またすでに愛読した方にも、新たな感動と発見を提供する作品集です。この機会にぜひ手に取ってみてください。
詳しくは
新潮社公式サイトをチェックしてみてください。