住みやすい地方を目指すAIの活用
近年、国内の地方移住への関心が高まっています。それに応じて、移住を希望する人々と地方とのマッチングを支援する取り組みが進んでいます。このほど、データセクション株式会社と株式会社MSSが共同で、移住希望者を支援するための新たなデータ構造化ソリューションを開発しました。
移住支援の背景
特定非営利活動法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター(以下、ふるさと回帰支援センター)は、地方で新しい生き方をはじめたい人々を支えるために、全国の自治体と連携し、600回を超える移住セミナーや約6万件の移住相談を無料で実施しています。しかし、少子高齢化や地域経済の縮小が進む中、移住希望者のニーズを的確に把握し、地域側の状況に応じた支援を行うためのデータ管理が課題とされていました。
専門的なデータ管理の必要性
ふるさと回帰支援センターでは、移住相談に関連する膨大なデータの適切な管理と運用が必要とされています。しかし、一部のデータは整理されておらず、インサイトを得ることが難しいという問題がありました。そこで、データセクションとMSSは、移住相談の記録を構造化し、その結果を通じて移住希望者一人ひとりのニーズを把握しやすくするプロジェクトを立ち上げることとなりました。
プロジェクトの進展
データセクションは、2023年の株式会社The ROOM4Dとの統合を機にデータサイエンス機能を強化しました。2024年にはMSSを子会社化し、マーケティングリサーチ事業を統合して、より効果的なデータ活用が可能となることを目指しました。このプロジェクトでは、ふるさと回帰支援センター、MSS、データセクションの三者が密接に連携して進められました。
特に注目すべきは、相談員が記録した非構造化データの分析です。人手で分類するのが困難なため、データセクションは独自のAIエンジンを開発し、大規模言語モデル(LLM)を基にしたデータフォーマット変換AIを設計しました。これにより非構造化データからのインサイトを引き出し、効率的な分析が可能になりました。
AI技術の特長
新たに開発されたAIシステムは、自然言語処理やAI技術を駆使し、データをシンプルな操作で整理・構造化できます。このシステムのおかげで、自由形式で入力された相談記録がデータとして活用できるようになりました。さらに、MSSがこのデータを分析し、移住希望者が抱える意識やニーズを明確化し、BIツールで見える化することで、ふるさと回帰センターの支援活動に貢献しています。
今後の展開
今後も、ふるさと回帰支援センターの支援活動を持続的にサポートするため、データセクションはデータのチューニングや活用サポートを継続する方針です。データ活用に興味を持つ企業や自治体に向けて、データサイエンスやシステム開発、マーケティングの観点から幅広く支援を提供します。
お問い合わせ
データセクションやMSSでは、AIを活用したソリューションの提案を行っています。各種ご相談も受け付けており、コンサルタントによる無料相談会も開催しています。お問い合わせはぜひお気軽にどうぞ。
この取り組みによって、移住希望者と地域のマッチングがより効果的で、持続可能な地域社会の実現に向けた一歩が踏み出されることが期待されます。