台湾の教育改革を支える「学美・美学プロジェクト」の全貌
台湾における教育制度の進化に寄与する「学美・美学プロジェクト」は、教育現場にデザインを融合させる試みとして注目を集めています。このプロジェクトは、2019年に台湾デザイン研究院(TDRI)と教育部の共同によって始まり、5年間で91の学校のキャンパスを改造してきました。今年の2023年度には145校がエントリーし、16校が選ばれ、デザインチームとの協力のもと新しい学習環境が整備されています。
プロジェクトの目標は、教育理念を再確認し、より効果的で創造的な学びの場を提供することです。近年の台湾では、幾つかの教育改革が進んでおり、「学美・美学プロジェクト」はその一環として、デザイン界と教育界の協力に基づいた取り組みとなっています。
教育改革との関係
台湾では、2014年に導入された「実験教育三法」や2019年の「新学習指導要領」の改正が教育界に大きな影響を与えています。これにより、教育の質向上が求められ、学びの環境の刺激が引き続き行われています。
「学美・美学プロジェクト」は、こうした教育改革と連動し、選ばれた公立・私立の学校がデザイン思考を取り入れることで、理想的な学習環境を開発することを目指しています。これまでに、世界的にも評価されている「Good Design Award」や「iF Design Award」など、多くの賞を受賞しています。
2023年度の取り組み
2023年度では、特に教育現場の最新トレンドに合ったデザインが導入されています。雲林県の華南実験小学校や台南市の左鎮中学校では、「プロジェクト型学習(PBL)」に適した教室が新たに設計されました。澎湖県の澎南中学校においては、地元文化を反映したデザインの拠点が創造され、嘉義県の民和中学校では台湾原住民に関連するテーマの実験室が設営されるなど、各校独自の要素が取り入れられています。
参加型デザインの取り組み
今年は、生徒たちが直接プロジェクトに参加する試みも行われました。高雄市の新庄高校では公民の授業を通じて学びの場をともに創り上げる活動が行われ、苗栗県の三湾小学校では食育教室の改造に際して生徒のアイデアが反映されました。彼らがデザインしたキャビネットの取っ手や地元の色を活かした遮音カーテンなど、参加者の創造性が新しい環境を形作っています。
展示イベント
プロジェクトの成果は、松山文化創意園区内にある台湾デザイン館で行われている「CLASS PLAY」と題した展示で紹介されています。この展示は11月20日まで開催され、様々なデザインのアプローチが紹介されることで、他の教育現場にも良い影響を与えることが期待されます。
まとめ
「学美・美学プロジェクト」は、教育現場に新たな可能性をもたらし、学生たちの創造性を引き出す素晴らしい取り組みです。デザインを通じて教育が進化し、未来の学びの環境がより豊かになることを願っています。これからも台湾の教育改革に注目し、デザインの力で変化していく様子を見守りたいです。