伊藤忠グループ、SpringREITから英国不動産83物件を取得
2025年2月、伊藤忠グループが香港証券取引所上場のSpring Real Estate Investment Trust(SpringREIT)から、英国に点在する83の商業不動産を総額GBP73.5 million(約142.5億円)で取得したことが発表されました。この物件は、伊藤忠商事の欧州子会社が運営する自動車整備・タイヤ小売チェーン「Kwik-Fit」に賃貸されています。今回の譲渡は、特別目的会社の株式を伊藤忠グループに譲渡する形で進められました。
売却物件の概要
取得した物件は、英国内の小型商業店舗83物件から成り、全物件の稼働率は100%です。これにより、SpringREITは安定した収益源を持つことができます。これらの商業施設は、安定した賃貸収入を生む資産として、2017年に取得されて以来、円滑な運営が行われてきました。
契約は2025年2月18日に締結され、売却が完了したのは同年3月28日です。イギリス市場における不動産の重要性は高まっており、伊藤忠グループにとってKwik-Fitの事業を向上させる戦略上、この取得は大きな意義があるといえます。
各社のコメント
伊藤忠商事の執行役員である真木正寿氏は、本取引が両社間の連携を示す重要なステップであると述べ、これにより、Kwik-Fitの店舗不動産を適切に管理し、顧客体験の向上を図れると期待を寄せています。
一方、マーキュリアホールディングスの石野英也氏は、SpringREITがこの不動産を通じて得た安定した収益を活かして、譲渡後は中国不動産市場への投資を強化する意向を示しました。
SpringREITの位置付けと今後の展望
SpringREITは、2013年に香港証券取引所に上場して以来、日本の不動産投資信託としての役割を果たしてきました。今回の英国不動産の譲渡は、同REITのポートフォリオを整理し、中国の高品質不動産への投資を再び明確にする機会とされています。
市場においては、特に中国の住宅市場における供給過多が懸念される中、SpringREITの保有物件は高い稼働率を維持しており、この強みを活かしてさらなる成長が見込まれています。
結論
伊藤忠グループによるSpringREITからの不動産取得は、両者にとって明るい未来を描くための重要な一歩です。北青山本社を構える伊藤忠商事は、様々な事業を展開する中で、今後も積極的な資産運用を進めていくことでしょう。SpringREITの戦略も、中国市場を中心に進化していくことが期待されています。