企業の給与デジタル払い導入状況に関する調査結果
jinjer株式会社が実施した給与デジタル払いに関する調査では、企業の人事担当者を対象に実施した361名からの回答が得られた。この調査は、2023年4月に施行された労働基準法の改正を受け、企業がこの新しい給与支払い方法をどのように認識し、導入を検討しているかを明らかにすべく行われた。
調査背景
新たに導入が認められた給与デジタル払いは、電子マネー口座を利用した給与支払い方式である。これにより、企業は従業員に対して多様な給与の支払方法を提供でき、キャッシュレス化の進展を反映した制度と言える。給与デジタル払いの利便性は高く、従業員にも企業にもメリットが期待されているが、果たしてどの程度企業がこの制度を理解し、実施に向けて準備しているのだろうか?
調査の概要
調査は2024年12月4日から12月5日の2日間にわたり、インターネットを通じて行われた。結果として、大多数の人事担当者が新制度を認知している一方で、実際の導入に対する姿勢は分かれていることが分かった。
認知度と導入検討状況
「給与デジタル払いについての認知があるか」との質問には、約75.6%の人事担当者が認識していると回答している。しかし、実際に導入を検討しているとの回答は36.4%に留まり、63.6%は未検討という結果に。特に、301名以上の従業員を持つ企業ほど導入を本格的に検討している傾向が見受けられる。これは、おそらく中堅から大企業が従業員の様々なニーズに応えようとする意識の表れだ。
理解度と期待されるメリット
調査によれば、給与デジタル払いの運用方法について「非常によく理解している」または「ある程度理解している」という回答は47.6%であり、依然として52.3%は不十分な理解しか持っていなかった。期待されるメリットとして最も多かったのは「振り込み手数料の削減」であり、次いで「従業員の利便性向上」が挙げられた。これは、企業がコストや効率だけでなく、従業員の働きやすさについても考慮し始めている証拠と言える。
課題への認識
しかし、導入にあたっての課題や不安も浮き彫りになった。最大の課題は「従業員からの合意獲得が難しそう」という点で、次いで「現行の給与システムとの連携の難しさ」や「セキュリティ面のリスク」を懸念する声も多かった。これらの障壁を乗り越えるためには、企業側がより良いコミュニケーションを図り、教育や説明を強化する必要がある。
企業の努力と今後の展望
jinjer株式会社のCPOは「デジタルマネーでの給与支払いが選択肢として増え、従業員の利便性向上が期待される」と述べている。また、同社は今後も、時代に合わせた新機能を充実させることで、より多くの企業がこの制度を導入しやすくなる環境づくりに努めると述べた。
まとめ
新たな給与支払い制度である給与デジタル払いは、企業の人事部門にとって大きな変革の兆しをもたらす可能性がある。この制度がどのように拡大し、実際に運用されるかは、今後の企業の取り組みに依存している。会社として現状の課題をどう解決し、導入に向けた一歩を踏み出すかが、企業の成長や従業員の満足度向上につながる鍵となるだろう。